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歴史展示のメッセージ

 歴博国際シンポジウム
「歴史展示を考える−民族・戦争・教育−」
編:国立歴史民俗博物館

 2003年11月に行われた、表題の歴博国際シンポジウムの記録。内外の博物館から集まった10人の報告者と3名の座長によって行われた、「戦争と表象」「民族と歴史」「博物館教育の可能性」の三つのセッションと討論を収録する。戦争はどう表象されるのか、当事者自身による展示が必要ではないか、国民国家の枠を超えた教育は可能か−博物館にとってのそんな本質的な問題について、力のこもった報告と議論が展開されている。
(小島道裕)

出版:アム・プロモーション 価格:3,150円 A5版 356頁 2004年12月

 

明治・大正・昭和 軍隊マニュアル

人はなぜ戦場へ行ったのか
著者:一ノ瀬俊也

 明治期から太平洋戦争期にかけて、兵士の入退営・葬儀などの際の挨拶模範、兵営・戦地から(に宛てて)書くべき手紙の文例集、入営兵士の心得といった、「軍隊マニュアル」とでもいうべき書物が大量に刊行された。本書はこれらを分析し、近代の日本人がなぜ軍隊・戦争の存在は正しいのかを自らの手で書き、あるいは語ることを通じて理解していった過程を明らかにした。

出版:光文社 価格:735円 新書版 217頁 2004年7月

 

歴史のなかの新選組

著者:宮地正人

 新選組は、国民に非常に人気のある幕末の剣客集団である。2004年のNHK大河ドラマにもとりあげられる理由である。しかしながら、従来は時代小説のなかで語られてきており、興味や関心をもつ人々が、事実かどうか不安がるのが現状である。
 本書は、新選組を歴史研究で行う場合の枠組みづくりを意図しながら、幕末政治史の中での新選組の位置づけや近藤勇の役割、治安維持部隊的な特質などを、確実な史料だけに依拠して論証したものである。

出版:岩波書店 価格:3,045円 272頁 2004年3月

 

博徒の幕末維新

著者:高橋敏

 今何故アウトローの幕末維新史か。博徒・侠客といったアウトローはこれまで歴史学の対象とはならなかった。彼らはアカデミズムの正史から排除され、ひたすら稗史といわれた虚実皮膜の講談、浪曲、芝居、映画等のメディアに押し込められて来た。アウトローが最も活躍した幕末維新の激動を取り上げ、彼らの実像に文献史料を駆使してアプローチする。明治維新の鴻業に献身しながら抹殺された草莽の博徒が明らかになる。

出版:筑摩書房 価格:740円 新書版 249頁 2004年2月

 

中世寺院と民衆

著者:井原今朝男

 イラクやアフガン・パレスチナ・アフリカなどでは、戦争・飢饉や疫病に苦しみ、国家や社会の力が弱く、軍閥や宗教権力や地域ボスなどに頼って日々の生活を送らざるをえない人々がたくさんいます。500年ほど前の日本の中世社会もまさに、戦争・飢饉・疫病の中で死体と隣り合わせて生活し、権門や宗教権力や武将らに依存して生活せざるをえず、そのために戦闘や闘争を繰り返すという悪循環の中にありました。その中で、宗派や規模の違いを超えて、中世寺院と民衆がどのような関係を結んで克服していったのか、中世人の宗教観・神仏観・養生観・生死観・芸能観などについて生活史の視点から歴史を検討したものです。

出版:臨川書店 価格:2,940円 309頁 2004年1月

 

清水次郎長と幕末維新

『東海遊侠伝』の世界
著者:高橋敏

 本書は、来春平成16年3月16日〜6月6日の間開催される本館開館20周年記念展示「民衆文化とつくられたヒーローたち −アウトローの幕末維新史」の準備作業の一環として著作された。
 博徒にして大侠のヒーローとされる清水次郎長は未だ虚実皮膜の中にある。次郎長の実像に迫るためには文献史学からの実証が不可欠である。そのため、本書では次郎長の根本史料とされる天田愚庵の「東海遊侠伝」を校訂・翻刻して公にするとともに、関連資料を収集取捨してアウトロー次郎長の真実を追求している。

出版:岩波書店 価格:2,800円 250頁 2003年10月

 

弥生変革期の考古学

著者:藤尾慎一郎

 2002年10月、広島大学に提出した博士論文「弥生変革期の考古学的研究」を上梓したもの。提出直後にAMS炭素14年代測定によって弥生開始の実年代がかなり上がる可能性が出てきたものの、補遺編を加えることによって出版にこぎつけた。これまでの弥生開始期の研究史、縄文農耕論の再検討、弥生稲作開始・拡散モデルの提示、文明の中心から遠く離れた北西ヨーロッパと日本列島の相互比較、弥生変革の考古学的意義などが主な内容である。

出版:同成社 価格:9,000円 260頁 2003年10月

 

ちくまプリマーブックス152

戦国の城を歩く

著者:千田嘉博

 城跡は人びとに親しまれている遺跡である。しかし一般になじみ深いのは石垣や天守を備えた近世の城跡で、土づくりの戦国時代の城跡は忘れられた遺跡になっていることが多い。本書はそうした草木に埋もれた身近な戦国の城跡からどのように歴史を読み解いていくかの方法を示すとともに、城の変化から戦国・織豊期の政治的・社会的変化を明らかにしていく試みをまとめたものである。本書から新しい城郭研究の高まりや方向性をも感じていただけたらと願っている。

出版:筑摩書房 価格:1,200円 B6版 199頁 2003年4月

 

臨川選書22

隠居と定年−老いの民俗学的考察−

著者: 関沢まゆみ

 現代社会は超高齢化社会である。古い伝統を研究する民俗学が、今、社会にどのような提言ができるだろうか。人生の後半に待ち構えているもの、それが定年と隠居である。定年は制度であり、隠居は慣行である。制度や慣行には長い経験の蓄積にもとづく人々の知恵が凝縮されているはずである。隠居と定年の歴史と民俗を追跡した本書の結論は、老いにはかけがいのない人生の三つの贈り物があるということである。

出版:臨川書店 価格:2,300円 四六版 196頁 2003年3月

 

なぜ日本人は賽銭を投げるのか

−民俗信仰を読み解く−
著者:新谷尚紀

 本書は、民俗学のおもしろさを紹介しようとする本です。民俗学というのは、身近な疑問から出発して、歴史の知識や世界各地の伝承など、時間と空間の中を自分の足と眼で色々と情報をさがしまわり、意外な伝統の知恵を発見したり、知らず知らずのうちに人間が組み込まれている定理を発見する学問です。新聞や雑誌の原稿を編集したので雑学的なオムニバス本になっていますが、電車の中ででも読んでみてください。

出版:文藝春秋 価格:700円 新書版 217頁 2003年2月

 

縄文論争

著者:藤尾慎一郎

 本書は、縄文時代に関する諸問題の中で、見解が分かれているところを取り上げ、どこまでが共通理解で、どこから意見が分かれているのはどの点か、今後どうなるのかを探ったものである。三内丸山遺跡は都市だったのか?縄文人は稲作をおこなっていたのか?クリは栽培されていたのか?縄文人はどこから来たのか?縄文文化の世界史的位置づけなど、わかりやすく説明している。

出版:講談社 価格:1,500円 250頁 2002年12月

 

歴史文化ライブラリー146

鉄砲と戦国合戦

著者:宇田川武久

 本書は、日本に伝えられた鉄炮が、どのようにして国内に普及していったのか、鉄炮の運用技術を家業とする武芸者である炮術師の足跡を戦国合戦との関連で描きだしている。停滞した戦国合戦論に再検討を迫る一書になっている。

出版:吉川弘文館 価格:1,700円 211頁 2002年11月

 

平凡社新書158

戦国水軍の興亡

著者:宇田川武久

 古来、瀬戸内海は海賊衆と呼ばれる海の武士団が活躍した海であった。室町時代に入って守護大名の支配力が強まると、彼らは「警固衆」としてその軍事力の一翼を担い、戦国時代には毛利氏や織田氏、豊臣氏などの水軍に組み込まれた。独立した海賊衆から警固衆へ、そして戦国大名の水軍への変遷の軌跡、その軍事力の土台となった船や兵器、朝鮮水軍との関わりなど、海を舞台に戦い、徳川家の天下統一とともに消えていった海の武士たちの戦国史を描く。

出版:平凡社 価格:760円 新書版 264頁 2002年10月

 

異界談義

編:国立歴史民俗博物館
著者:池上良正/内田順子/小松和彦/
  島村恭則/鈴木一馨/常光徹/山田慎也

 天狗・鬼・河童などさまざまに創造された妖怪の多くは、異界の住人である。人々は見えない世界をさまざまに想像することで、日々の不安を和らげ、生きていくための拠り所を得ようとしてきた。異界への想像力が生み出した文化は、長い歴史の中で豊かな裾野の広がりを形成している。「妖怪」「あの世」「占い」をキーワードとして、異界のもつ魅力を幅広く紹介する、異界を知るための入門書。

出版:角川書店 価格:1400円 本文243頁 2002年7月

 

日本の時代史1

倭国誕生

編:白石太一郎

 全30巻からなる『日本の時代史』の第1巻で、旧石器時代から、倭国が誕生し、初期ヤマト政権が確立する3〜4世紀頃までを扱ったもの。編者の白石は全体の概説を担当したが、旧石器、縄文、弥生時代の詳細については、それぞれの時代を専門とする分担執筆者にゆだね、テーマの倭国誕生の問題に重点を置いて執筆した。また考古資料からみた漢と倭の関わり、環境と歴史の関わり、人類学からみた倭人の形成に関する特論をも収めた。

出版:吉川弘文館 価格:3,200円 348頁 2002年6月

 

幕末京都の政局と朝廷

−肥後藩京都留守居役の書状・日記から見た−
編・解説:宮地正人

 本書は、幕末期に大藩熊本藩の京都留守居という重職にあった上田久兵衛が、国元の父親宛に、京都の政情や機密情報を書き送っていた書状を編纂し、また同じ時期の久兵衛の日記を活字化したものである。あわせて詳細な解説論文がつけられている。幕府対薩長という対抗軸では容易に理解出来ない幕末政治史に対し、薩摩に対立しながら京都政局の主導権を掌握しようとする熊本藩の動きを明らかとすることによて、政治史研究に一石を投ずるものとなっている。

出版:名著刊行会 価格:8,600円 A5判 436頁 2002年3月

 

天下統一と城

編:千田嘉博・小島道裕

 本書は企画展示「天下統一と城」に合わせて行った歴博フォーラムの成果をまとめたものに、第1部に編者と佐原真氏との鼎談「城から考える歴史」を総論とし、18本の論考と討論で構成する。城から歴史を明らかにしていく研究をわかりやすく提示し、天下統一の過程を新たな視点から描き出す。特に天下統一と城プロジェクト監修のもと国立歴史民俗博物館が製作した安土城のコンピュータグラフィックを素材に、織田政権が目指した政治構想をいかに読み解くか、白熱の議論を展開する。

出版:塙書房 価格:2,800円 本文314頁(カラー図版4頁) 2002年3月

 

江戸村方騒動顛末記

著者:高橋敏

 江戸時代も19世紀になると時代と社会は大きく変わり始める。江戸近郊の世田谷のひとつの村の窓から覗いてみたらどうなるか。そこには身分や領主の圧政に呻吟(しんぎん)する百姓の姿はない。利害に目敏く、公事好きでものを言う百姓が群れている。彼らは村政に不正があると感知すればお上を恐れず上訴はするは、江戸に出て越訴(おっそ)もいとわない。
 本書は江戸の村方騒動の顛末を古文書を読み解くことによって丹念に追及して江戸の実像に迫っている。

出版:筑摩書房 価格:680円 206頁 2001年10月

 

日本史リブレット4

古墳とその時代

著者:白石太一郎

 手軽に読める日本史のテーマ別概説書として刊行されている日本史リブレットの1冊。考古学の資料と方法によって古墳時代の歴史を概観したもの。東アジアでも特異な日本の古墳の特質、古墳からみた首長連合としてのヤマト政権のあり方、古墳時代の人々の社会や生活や信仰、さらに4世紀後半以降の東アジアの激動の歴史のなかで急速に進展した日本列島の文明化などについて、筆者が日頃考えているところをわかりやすく述べた。

出版:山川出版社 価格:800円 105頁 2001年5月

 

古墳の語る古代史

著者:白石太一郎

 筆者が最近10年ほどの間に新聞や雑誌などに書いた各地の古墳に関する小考察を集めたもの。1998年に歴博ブックレット『古墳の語る古代史』として刊行されたものを基礎に、さらに多くの小文を加えて新しく編集した。それぞれ独立した短編からなるが、3世紀の出現期古墳を取り上げたものから7・8世紀の終末期古墳を扱ったものまで、ほぼ時代順に配列し、全体として古墳とその移り変わりや、筆者の想定する古墳時代像が理解できるように配慮してある。岩波現代文庫の一冊。

出版:岩波書店 価格:1,000円 280頁 2000年11月

 

歴博万華鏡

編:「歴博万華鏡」編集委員会

 国立歴史民俗博物館にある収蔵品の誌上展覧会ともいえる試みを行いました。「祈る」「祭る」「装う」「飾る」「遊ぶ」の5項目に分け、収蔵する資料を紹介しています。資料から何を読みとることが出来るのか、何が心に浮かんでくるのか、研究者が力を込めて競い合って書いています。さまざまな資料から過去の人々の心の発信を受け取ってみて下さい。総合的な日本の歴史を学びながら、昔の人たちとの心の触れ合いの場ともなるでしょう。

出版:朝倉書店 価格:28,500円 B4判 208頁 オールカラー 2000年10月

 

墨書土器の研究

著者:平川南

 墨書土器に記された文字は断片的な資料であるが、その一つ一つをつないでいくと、古代の行政や人々の信仰のありかたまで鮮明に浮かび上がってくる。近年、日本列島各地の古代の役所や村の遺跡から膨大な数の墨書土器が出土している。
 本書は、古代の文字の始まり、墨書土器登場の背景、8・9世紀の全国的盛行の様子、にもかかわらず10世紀以降急速に消滅した理由、等々、墨書土器に関する主要な問題を解明し体系的にまとめた研究書である。
 口絵グラビアに注目すべき墨書土器の鮮明な写真を16ページ、本文中には282という多数の図版を掲載して、理解しやすいように配慮している。

出版:吉川弘文館 価格:12,000円 A5版 520頁 2000年10月

 

江戸の炮術

継承される武芸
著者:宇田川武久

 戦乱の世が終息し江戸時代になると、実戦的色彩が強かった炮術もまた武芸の一流となっていった。
 本書は、幾多の武芸の諸流が興亡を繰り返した江戸時代に生きた関流の炮術師たちを中心に、彼らが太平の世をいかに暮らし、武芸としての炮術を継承していったかを新資料や手紙、日記を交えて描き出す。

出版:東洋書林 価格:2,800円 264頁 2000年10月

 

古墳と古墳群の研究

著者:白石太一郎

 古墳群の研究は、古墳をそれぞれの地域における古代史の研究に生かすための基礎作業に他ならない。本書は、畿内や関東の古墳群に関する研究を中心に、さらにその前提となる古墳造営の歴史的意義を追求した論考や古墳の暦年代に関する研究を収めた論文集である。第I部古墳の成立と終末、第?部畿内の大型古墳群、第?部畿内の群集墳、第?部東国の古墳と古墳群、第?部古墳の暦年代の検討、の5部からなり、さらに奈良時代の古墳に他ならない高松塚古墳に関する小論などを付録として添えた。

出版:塙書房 価格:12,000円 558頁 2000年9月

 

国定忠治

著者:高橋敏

 日本のアウトローの典型、国定忠治が大戸の関所で磔になってから150年、かつては一世を風靡した夾客忠治を知る人も少なくなりました。本書は二足草鞋を嫌い、徹底してお上に歯向った忠治の波瀾の生涯を歴史学の学問研究の方法を駆使して叙述したものです。忠治には芝居・講談・映画を媒介にした民衆のヒーローとしての虚像が定着しています。新国劇の澤田正二郎の名月赤城山のシーンをはじめ東海林太郎の赤城の子守唄で懐かしむ人が多いかもしれません。虚実入り交じった忠治像を彼が生きた19世紀前半の社会から浮かびあがらせようとしました。蚕で繁盛する上州、金がものをいう消費社会、博奕の流行、博徒、無宿者の横行、人々が欲望に生きる社会がそこにありました。また、同時に周辺の魅力にあふれた人物もあぶり出されて来ます。

出版:岩波書店 価格:660円 210頁 2000年8月

 

神々の原像

−祭祀の小宇宙−
著者:新谷尚紀

 日本の神とは何か、この問題に民俗学の立場から迫ってみた。これまでの神の原像論は柳田国男の祖先神(祖先が神となる)、折口信夫のまれびと(異界からの来訪神)がよく知られていたが、それらを確認しながら、各地の寺院や神社の祭礼や儀式の分析を通して、あらためてすべての神はケガレ(死の力)の逆転の結果生まれるということ、そして神とはケガレの吸引・浄化装置であることを論じた。

出版:吉川弘文館 価格:1,700円 222頁 2000年5月

 

古代王権と官僚制

著者:仁藤敦史

 前著『古代王権と都城』(吉川弘文館)では都城制の成立過程から古代王権の成立を論じたが、本書では専制国家論の立場から7世紀から9世紀に至る古代王権の性格を、行幸・太上天皇などの王権制度や位階制などを素材として明らかにした。律令制の前史として大王による人格的支配の段階を重視し、古代国家成立後における天皇権力の絶対化と古代官僚制の成熟というプロセスにより、天皇は「動く王」から「見えない王」になっていくことを論じた。

出版:臨川書店 価格:6,300円 311頁 2000年5月

 

古代日本の文字世界

著者:平川南

 平成10年11月に行われた大修館書店主催のシンポジウム「古代日本の文字世界」をもとにその成果をまとめたもの。歴史学・考古学・国語学・国文学の古代文字研究者が最新の出土文字資料と研究成果をふまえて、分野を越えた古代文字世界の新しい認識を作りだそうと試みている。内容は二部構成で、第一部は考古学の水野正好、国語学の犬飼隆両氏の論文。第二部は編者を司会とし、先の二氏に歴史学の和田萃、国文学の稲岡耕二の両氏を加えた討論で、日本の文字のはじまりから漢字文化圏における位置づけまで多岐にわたっている。また、豊富な写真と釈文、脚注の解説が読者の便をはかっている。

出版:大修館書店 価格:2,600円 216頁 2000年4月

 

よそおいの民俗誌

化粧・着物・死装束
編:国立歴史民俗博物館

 1998年夏の企画展示「布のちから・布のわざ」の開催に併せて、「衣(い)のフォークロア」と題するフォーラムを開催し、衣をめぐる諸問題について、多面的な人の営みと衣服のかかわりに焦点をあて、各方面の専門家と意見の交換をおこなった。本書はその成果をもとに刊行したものである。
 その内容は衣の歴史、化粧と死装束、技と伝承など多岐にわたるが、いずれも日ごろ忘れがちな布や衣服のもつさまざまな側面を興味深く語りかけるものである。

出版:慶友社 価格:3,000円 262頁 2000年3月

 

考古学と植物学

著者:辻誠一郎

 過去の人間の生活を考えるのに、植物遺体の調査は不可欠なものとなってきた。本書の目的は、植物遺体が実際どのようなものであり、どのように扱い、どのように調べるのかを概説することである。本書は、考古学にとっての植物、植物と植物遺体、珪藻、パリノモルフ:花粉と胞子、種実類:大型植物遺体、木材、植物珪酸体(プラント・オパール)、生態系の復元、環境と人間活動、研究機関・埋蔵文化財関係機関での保存と公開の10章からなり、前半に植物・植物遺体を理解するための章をもうけた。

出版:同成社 価格:2,800円 A5判 248頁 2000年3月

 

宮座と老人の民俗

著者:関沢まゆみ

 近畿地方の村落にみられる「宮座」と呼ばれる神社の祭祀組織と、それを担う長老衆についての論考。宮座は歴史学と民俗学とが長い研究蓄積をもつテーマだが、本書は筆者が十数年にわたって実施してきたフィールドワークをもとに、文献資料も活用し、その分析を試みたものである。長老の日記や自分史の分析から、長老自身にとっての宮座の意義についても分析。また、それら長老衆に対比して、東京近郊の都市化地域における現代老人論をも展開する。

出版:吉川弘文館 価格:6,200円 266頁 2000年2月

 

民俗学がわかる事典

編・著:新谷尚紀

 読む知る愉しむ・民俗学がわかる事典、と副題が付されている。日々の生活の中の身近な疑問への解説と、民俗学がどんな学問か、わかるように編集されている。62名の大学教員や博物館学芸員の共同執筆になる本書は、民俗学への入門書であり、同時に専門的な知識も得られる贅沢な本である。
 1)民俗学への招待、2)民俗学とは何か、3)不安と祈願、4)生死と霊魂、5)祈年と感謝、6)暮らしと技術、7)人とつきあい、8)暮らしと家庭、9)娯楽と表現、10)沖縄を知ろう、11)現代社会と民俗、12)民俗学に取り組む。

出版:日本実業出版社 価格:1,600円 四六版 372頁 1999年9月

 

中世のいくさ・祭り・外国との交わり

著者:井原今朝男

 本書は、日本に伝えられた鉄炮が、どのようにして、国内に普及していったのか、鉄炮の運用技術を家業とする武芸者である炮術師の足跡を戦国合戦との関連で描きだしている。停滞した戦国合戦論に再検討を迫る一書になっている。

出版:校倉書房 価格:3,800円 352頁 1999年9月

 

妖怪変化

−民俗学の冒険(三)−
著者:常光徹

 「化ける」「変身する」ことを切り口として、さまざまな事象を民俗学の視点から読み解く。
 第一部<妖怪と現代の怪異>は、「股のぞきと狐の窓−妖怪の正体を見る方法」(常光徹)、「妖怪と怪獣」(齋藤純)、「現代都市の怪異−恐怖の増殖」(宮田登)の論文からなる。
 第二部<化けるという幻想と現実>には、「町が化ける−まちづくりのなかの民俗文化」(川森博司)、「名前と変化」(植野弘子)、「人の一生」(岩田重則)の論文を収載。ほかにコラムが6編。

出版:ちくま新書 価格:660円 新書版 234頁 1999年7月

 

古墳とヤマト政権

−古代国家はいかに形成されたか−
著者:白石太一郎

 古墳の造営がヤマト政権と呼ばれる各地の政治勢力の連合体の構造と密接な関わりをもつことは、戦後の日本考古学が明らかにした重要な研究成果である。本書は畿内を中心とする各地の古墳の動向を編年的に整理することによって、ヤマト政権の形成からその変質の過程、さらに古代国家への歩みをあと付けようとしたものである。特に古墳の出現年代を3世紀中葉すぎに求める新しい年代観にもとづいて、邪馬台国連合からヤマト政権への転換の歴史的意義を追及した。文春新書の一冊。

出版:文芸春秋 価格:660円 206頁 1999年4月

 

大昔の美に想う

美術館へ行こう
著者:佐原真

 何万年も前の石器から、1300年前の奈良高松塚古墳の壁画、1400年前の奈良飛鳥寺の瓦にいたる、大昔の美をとりあげて、美について、大昔の人びとの行動や心の動きについて考えました。日本に人が住み始めてから、最も恵まれた状況で生きている私が、将来にどんな笑顔、心を残せるのでしょうか。大昔の美に接することは、それだけに終わらないことを、この本を書いて思いました。

出版:新潮社 価格:1,800円 図版本文とも200頁

 

日本の美術390

鉄砲と石火矢

著者:宇田川武久

 日本に伝来した鉄炮と石火矢について豊富な図版を駆使してわかりやく歴史的に解説した。鉄炮では種子島に伝来した鉄炮の正体、鉄炮普及の実態、鉄炮術の発達、鉄炮の製作技術を、そして大型砲の石火矢でもほぼおなじような構成をとった。
 本書の特色は文献を引用すると同時に内外に現存する実物資料を用いていることである。鉄砲を取り扱う際の入門書としても便利な本である。

出版:至文堂 価格:1,700円 B5変形,98頁

 

城と城下

−近江戦国誌−
著者:小島道裕

 筆者が参加した「滋賀県中世城郭分布調査」その他の現地調査で得た知見をまとめたもの。村々の小さな城館から、戦国大名六角氏の観音寺城、浅井氏の小谷城、そして天下人織田信長の安土城にいたる城と城下の歴史と実体を、文献、歴史地理、考古などの手法を駆使して描き出す。調査の経緯や方法自体も詳しく紹介しており、この種の調査研究に関心を持つ方には、きっと参考になる。

出版:新人物往来社 価格:3,000円 四六版,246頁

 


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「れきはく」のシンボルマーク
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