国立歴史民俗博物館企画展示「日本建築は特異なのか 東アジアの宮殿・寺院・住宅」
2009年6月30日から8月30日


 2009年6月30日から8月30日に開催する歴博企画展示「日本建築は特異なのか 東アジア」の作業を進めています。その準備状況や、前提となる「東アジアの伝統建築」について、今までの調査資料などによって少しずつ紹介していくことにします。
 東アジアとは、古代以来の中国の影響によって成立した文明圏のことで、日本はその縁辺に位置しています。ここでは中国およびその影響下にある伝統建築を、大きく宮殿(王権の建物)、寺廟(宗教の建物)、住宅(人間の建物)に分けて考えます。
国立歴史民俗博物館教授 玉井哲雄
(展示プロジェクト代表者)
2008年12月22日


■最新記事■
2008年12月22日

■第10回:ベトナムの建築
No.10: Vietnum Dwellings

 ベトナムは日本・韓国同様に東アジアに属する漢字文化圏の国であり、中国文明を基礎としつつも独自の建築文化を形成してきました。

 中部の都市フエにはベトナム最後の阮(グエン)朝(1802-1945)の宮殿がありました。北京の都城を模したものですが、正殿である太和殿を初めとして木彫やモザイク・漆喰細工などを特徴とするベトナム中部独特の建築様式で作られています。

 古い港町ホイアンは、16世紀にフエにあった南阮政権の外港となり、ポルトガル、オランダ、中国、日本人が来港する国際貿易港として繁栄しました。17世紀初めには江戸幕府との間で朱印船貿易が行われ、大規模な日本人街も形成されました。鎖国によって日本人の往来も絶え、町としても寂れましたが、18世紀に再建され繁栄した町並が今でもよく残されています。

写真1 フエの宮殿 牛門より太和殿をのぞむ
写真2 ホイアン町並を構成する町家2棟

■バックナンバー■
2008年8月4日 第1回:中国の宮殿建築 北京/天壇祈年殿と北京/紫禁城(故宮)太和殿
2008年8月18日 第2回:韓国の宮殿建築  ソウル/崇礼門(南大門)とソウル/景福宮勤政殿
2008年9月1日 第3回:チベットの宮殿建築  ラサ/ポタラ宮
2008年9月18日  第4回:中国の寺院建築  山西省応県/仏宮寺釈迦塔(応県木塔)と天津市/独楽寺観音閣 
2008年9月29日 第5回:韓国の寺院建築  慶尚北道安東/鳳停寺極楽殿  慶尚北道栄州/浮石寺無量寿殿  
2008年10月16日 第6回:韓国の石造建築 忠清南道扶余/定林寺址五層石塔 全羅北道益山/弥勒寺址石塔
2008年11月10日 第7回:中国の住宅建築その1 山西省渠家大院(四合院)と江西省石圍(圍屋・客家民居)  
2008年11月27日  第8回:中国の住宅建築その2  内モンゴル格根塔拉草原のテント式住居と
陝西省梁家庄村のヤオトン(窰洞) 
2008年12月8日   第9回:韓国の住宅建築  全羅南道の両班住宅と江原道の民家ノワヂプ
2008年12月22日 第10回:ベトナムの建築  フエの宮殿と町家 ■最新記事■

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