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学術創成研究費
「弥生農耕の起源と東アジア−炭素年代測定による高精度編年体系の構築−」

平成16年度の活動について

西本豊弘


本研究の目的は、弥生時代の始まりについて、炭素14年代を用いて実年代を推定し、日本における弥生農耕の起源を再検討することです。
平成16年度は、この研究の初年度に当たるため、各地の遺跡出土資料の収集活動を始め、各地の研究者の御協力をいただき、約200遺跡で土器付着炭化物や木炭など、約2,000点余の年代測定用資料を採集しました。これらの資料と昨年度までに収集していた年代測定用資料の中から、今年度は、北部九州、岡山県、愛媛県、兵庫県、奈良県などの西日本の資料を中心に、縄文時代晩期から弥生時代の資料約520点をAMS法を用いて炭素14年代を測定しました。そして、福岡市・奈良県田原本町・岡山市で資料提供者との検討会を行いました。12月25・26日には、中国・韓国の研究者及び国内の研究協力者を招いて、この1年間の研究成果を公表する国際研究集会を国立歴史民俗博物館で開催しました。この1年間の研究成果は以下のとおりです。

  1. 北部九州での灌漑水田稲作のはじまり(弥生早期)は、紀元前930年前後と推測される。
  2. 瀬戸内沿岸と近畿地方の弥生前期の始まりは、北部九州より遅れて紀元前約700年から600年頃である。畿内では大阪平野に当初弥生農耕が始まり、その後、奈良盆地へ伝わったと考えられる。
  3. 弥生前期末から中期の始まりは、西日本全体で紀元前400年頃から350年前後と推定される。
  4. 土器付着炭化物の海洋リザーバー効果については、δ13C値を用いて推定することが可能となった。
  5. 土器付着物の由来がC3植物であるかC4植物であるか、また海産資源であるかをδ13C値と炭素と窒素の比率により検討した。その結果、近畿地方の弥生時代の資料の中に、ヒエ・アワに由来するものがある可能性が認められた。

このような結果を得ることが出来ましたが、各地の年代測定資料はまだ不十分です。従って、来年度は測定資料を更に増やす予定です。




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