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国際セミナー 開催要項

名 称

博物館教育とデジタルメディア

日 時

2002年1月17日(木) 13:00〜16:30

場 所

国立歴史民俗博物館 大会議室

主 催

国立歴史民俗博物館
科学研究費「生涯学習時代における博物館教育・教育員養成および歴史展示に関する総合的研究」グループ

内 容



挨拶宮地正人(歴博館長)1:00〜1:05
趣旨説明小島道裕(歴博、科研代表)1:05〜1:15
講演デヴィット・アンダーソン
(ヴィクトリア&アルバート博物館教育部長・来館者サービス部長)
「イギリスにおける博物館教育とデジタルメディア」
1:15〜2:15
コメント 安達文夫(歴博情報資料研究部)・・・・デジタルメディアを作る立場から2:15〜2:30
久留島浩(歴博、教育プロジェクト代表)・・・・デジタルメディアを利用する立場から2:30〜2:45
染川香澄(ハンズオンプランニング代表)・・・・博物館教育の立場から2:45〜3:00
 討  論3:10〜4:30


 今回のセミナーでは、イギリスにおいて現在特に話題となっており、かつ当館でも積極的に推進している、博物館におけるデジタルメディアの利用の問題をテーマとした。
 当日の講演では、アンダーソン氏は主に、文化的リソースの利用促進を目的とした「カルチャー・オンライン」という、現在イギリスにおいて国家レベルで進行中の計画について報告され、その可能性や問題点について述べられた。特に、その投資をどのような方向で用いるか、すなわち、博物館が所蔵する資料の詳細・正確なデジタル化をはかるか、それとも一般公衆が利用しやすくするために使うかという議論が、博物館のあり方という本質的な問題ともかかわって行われていることも紹介された。その将来像を示したビデオや、V&Aでの実践を示したスライドも上映された。デジタルメディアによって情報提供ができるようになると、博物館はより参加型で創造的なものを提供する必要があるとされた。
 ついで、三人のコメンテーターが報告を行った。
 まず安達文夫氏(情報資料研究部)から、当館のデジタルメディア利用によるサービスの全体像と、当館で開発した「絵画資料自在閲覧装置」の紹介が行われた。
 久留島浩氏(歴史研究部・教育プロジェクト代表)は、デジタルメディアを利用する立場から、先の装置を利用して江戸図屏風を読み解く教育プログラムを紹介すると共に、一方でデジタルメディアの利用には多くの問題点があることを報告した。
 染川香澄氏(ハンズオンプランニング)は、結局ローテクの装置と同じように、利用者がその人自身として何かを獲得できるようにすることが重要で、そのための開発過程が問題であろう、と指摘した。
 その後、講演者からの応答と、フロアからの発言も含めた討論を行った。

 全体として、日英双方の技術や現状、および展望などについて、またそこから導き出される博物館の使命について、情報や意見を交換し相互に認識を深めることができたことは有益であった。特に、イギリスにおいてはこの問題が国家の教育の重要な一環としてとらえられ、将来に向けての活動が、個々の博物館を越えたレベルで組織的・戦略的に行われていることは印象深かった。
 外部からも予想以上の参加を得たことは、日本の博物館界における共通認識の形成や、博物館同士のネットワークづくりなどにとっても意味があったと言えよう。
 後日参加者からも感想を募ったが、イギリスの文化資源についての考え方や、個別館を越えた実践、具体的なプログラムなど、様々な点で参考になったとする意見が寄せられた。

講演者

デヴィッド・アンダーソン David Anderson氏(イギリス)
(ヴィクトリア&アルバート博物館 教育・来館者サービス部長)
(Victoria and Albert Museum,Director of Learning and Visitor Services)
 アンダーソン氏は、1852年創設以来当初から強い教育的使命を持つ美術工芸系の巨大博物館V&Aの教育部門の責任者で、イギリス博物館教育界のリーダー的存在である。
著書としては、社会教育機関としての博物館のあり方を明確に示した報告書「ア・コモン・ウェルス」が世界的に有名で、日本での博物館のあり方をめぐる近年の議論にも影響を与えている。

担当者

小島道裕、久留島浩



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