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「和宮ゆかりの雛かざり」「江戸のグルメ案内」「年号と朝廷」「楽器と漆」

『もの』からみる近世「和宮ゆかりの雛かざり」(第3展示室)

開催概要

開催期間 2018年2月20日(火)~4月8日(日)
会場 国立歴史民俗博物館 第3展示室(近世)副室
料金

一般420(350)円/高校生・大学生250(200)円
中学生以下無料

(  )内は20名以上の団体
※総合展示もあわせてご覧になれます。
※毎週土曜日は、高校生の入館が無料です。

開館時間

~2月 : 9時30分~16時30分(入館は16時00分まで)
3月~ : 9時30分~17時00分(入館は16時30分まで)

休館日 毎週月曜日(祝日の場合は開館し、翌日休館)
ただし、4月2日(月)は開館。
主催 国立歴史民俗博物館

趣旨

幕末の動乱期、波乱にとんだ生涯を送ったことで知られる和宮は、仁孝天皇(にんこうてんのう)の第8皇女として生まれ、「公武合体」の証しとして文久元年(1861)14代将軍徳川家茂(とくがわいえもち)に降嫁しました。

今回の特集展示で展示する雛人形・雛道具類(当館所蔵)は、和宮所用として伝来したもので、有職雛(ゆうそくびな)と呼ばれる種類の雛人形と、江戸七澤屋(ななさわや)製の各種雛道具、御所人形および三ツ折(みつおれ)人形などが含まれます。

上巳(じょうし)(三月三日節)にとりおこなわれる雛まつりの行事は、江戸時代に入ってから広まりをみせ、多くの女性たちの支持を集めました。儀式が定着するにつれ、その装飾は華麗なものとなり、時代時代の流行を取り入れながら、寛永雛、元禄雛、享保雛、次郎左衛門雛、有職雛、古今雛と俗称される多彩な雛人形や、精巧に作られたミニチュアの道具類が生みだされていきました。『和宮様御雛満留』(宮内庁書陵部蔵)や『静寛院宮御側日記』(同)、『和宮様おひゐな御道具』(内閣文庫蔵)などの記録によれば、和宮は、数多くの雛人形を手もとにおき、また上巳にはあちこちと雛人形を贈りあうなど、雛まつりを楽しんだようです。当館所蔵の雛人形・雛道具はその一部をなしていたと考えられ、江戸時代の文化や工芸技術を伝える資料として貴重です。

みどころ

  • 和宮所用と伝えられる雛人形は、有職雛(直衣雛)という貴族的な面立ちの上品な人形で、幕末期の富裕層における雛人形の典型的な作例です。
  • 婚礼調度をミニチュアとして作った雛道具は、約80点を数えますが、当時の流行を反映して、ガラス製の器なども含まれます。江戸上野池之端にあった有名な雛人形店、七澤屋製と推測されます。
  • 御所人形・三ツ折(みつおれ)人形には、和宮が兄の孝明天皇(こうめいてんのう)の形見として譲渡された由緒のある人形も含まれます。

主な展示物(予定)

内裏雛及雛道具付御所人形より

  • 有職雛(直衣雛)
  • 御所人形 孝明天皇遺物など 13躯
  • 三ツ折人形 孝明天皇遺物のうち 2躯
  • 須磨明石図屏風
  • 狗張子
  • 牡丹唐草文蒔絵雛道具
  •  

など約100点(すべて本館蔵)

 

【展示代表】

日高 薫(ひだか かおり)
【所属】国立歴史民俗博物館 研究部 情報資料研究系 教授
【専門分野】漆工芸史

主な研究テーマは、蒔絵を中心とする漆工芸史および日本の装飾芸術の特質に関する研究、交易品としての漆器をめぐる文化交流に関する研究。また、在外の日本関係資料の調査研究をすすめている。
東京大学文学部美術史研究室、共立女子大学国際文化学部日本文化研究の助手を経て、1994年に国立歴史民俗博物館に勤務。

有職雛(ゆうそくびな)(直衣雛)(国立歴史民俗博物館蔵)

和宮ゆかりの雛人形は有職雛である。有職雛とは、有職(朝廷・公卿の儀礼に関する知識)にもとづき、実際の公卿装束とかわらぬ装束を着せかけた雛人形のことをいい、18世紀後半につくられ始めた。

内裏雛及雛道具

碁盤
牡丹唐草文蒔絵雛道具(書棚他) 四季棚
唐机と文具 ギヤマン酒宴道具
小倉百人一首 御所人形「牛若と弁慶」

 

 

佐倉・城下町400年記念事業
「もの」からみる近世 「江戸のグルメ案内」(第3展示室)

開催概要

開催期間 2018年1月5日(金) ~ 2月4日(日)
会場 国立歴史民俗博物館 第3展示室(近世)副室
料金 一般420(350)円/高校生・大学生250(200)円
中学生以下無料
(  )内は20名以上の団体
※総合展示もあわせてご覧になれます。
※毎週土曜日は、高校生の入館が無料です。
※高校生及び大学生の方は、学生証等を提示してください。
 (専門学校生など高校生及び大学生に相当する生徒、学生も同様です)
※障がい者手帳等保持者は手帳提示により、介護者と共に入館無料
開館時間 9:30~16:30(最終入館は16:00まで)
休館日 毎週月曜日(祝日の場合は開館し、翌日が休館)
主催 大学共同利用機関法人 人間文化研究機構 国立歴史民俗博物館


趣旨

テレビのグルメ番組や旅行番組中での食レポ、星の数ほどありそうなグルメガイド本、あるいは駅に置いてある無料のグルメ情報誌など、巷(ちまた)には食べ物屋に関する情報源が充ち満ちています。近年ではインターネット上のグルメガイドに表示された星の数や口コミを参考に店選びをする人も少なくありません。今日(こんにち)、東京はミシュランガイドで最多の星つきレストラン数を誇る世界に冠たるグルメ都市ですが、江戸末期の番付や錦絵にも江戸市中の食の名店である料理茶屋(今日の料亭に相当)に関する情報が豊富に取り上げられており、食にこだわる東京人の気質は江戸時代にまでさかのぼるといえるかもしれません。

今回の特集展示は、いかに江戸末期の江戸という町がグルメ・シティであったかを、江戸の料理茶屋に関わる多彩な館蔵資料をもとに紹介します。

展示の一つの核となるのは番付類です。江戸時代は番付文化の時代であり、相撲の番付に模していろいろな事物を格付けすることが流行しました。江戸市中の有名料理茶屋の番付は数多く残されており、人々の関心が高かったことがうかがえます。

展示のもうひとつの核となるのは、歌川広重が天保(1830~44)後期に描いた錦絵「江戸高名会亭尽(えどこうめいかいていづくし)」です。名所絵の第一人者が江戸市中の著名な料理茶屋を描いた揃物で、こうした錦絵が出版されていたことは、料理茶屋が名所としても認識されていたことを知ることができます。今回の展示ではこの揃物の中から料理描写の豊かなものを中心に選び、その他の錦絵や絵双六、『江戸名所図会』なども加え、料理茶屋の情報が視覚的に伝えられた様子をご紹介します。

みどころ

・番付や錦絵から江戸時代末期の江戸の町も、今の東京に劣らずグルメ情報であふれていた時代で あったことがわかる!
・買い物案内や絵双六などから、江戸で人気の食べ物を知る!
・名所絵の第一人者広重が「江戸高名会亭尽」に描いた料理茶屋の座敷や庭の豪華さにご着目!

【展示代表】

大久保 純一(おおくぼ じゅんいち) 
 所属:国立歴史民俗博物館 情報資料研究系 教授
 専門分野:日本近世絵画(浮世絵、江戸後期の風景表現)

主な展示資料

・「八百善御料理献立(江戸料理茶屋番付)」 (本館蔵)
・「江戸高名会亭尽」  歌川広重画 (本館蔵)
・「新版御府内流行名物案内双六」(本館蔵)
・『江戸買物独案内』の内「飲食の部」(本館蔵)
・『江戸名所図会』(本館蔵)
・『豆腐百珍』(本館蔵)

など計約40点

 

1) 『江戸買物独案内(えどかいものひとりあんない)』より「飲食之部」口絵と目録(目次)  文政7年(1824)

江戸の買い物ガイドといえる『江戸買物独案内』の食べ物の巻。会席料理を供する料理茶屋だけではく、茶漬けや蕎麦、鰻の蒲焼、寿司などの店も取り上げられている。口絵の作者は葛飾北斎。

2) 江戸高名会亭尽(えどこうめいかいていづくし) 牛島(うしじま) 武蔵屋(むさしや) 天保(1830~44)後期

「江戸高名会亭尽」は名所絵の第一人者である歌川広重が江戸の著名な料理茶屋を描いたシリーズ。この図は川魚料理で知られた向島の武蔵屋の数寄を凝らした庭を描いている。

3)江戸高名会亭尽(えどこうめいかいていづくし) 山谷(さんや) 八百善(やおぜん) 天保(1830~44)後期

江戸の料理茶屋の筆頭株ともいえる八百善の座敷を描く。長押には江戸南画の大家である谷文晁(たにぶんちょう)の描いた額がかかっている。

4) 東都高名会席尽(とうとこうめいかいせきづくし) よし丁(ちょう) 浅倉当吾(あさくらとうご) 嘉永5年(1852)

三代歌川豊国が人気役者の似顔を、広重がコマ絵の中に料理茶屋の光景を描くシリーズ。芳町の桜井甚五郎の店を取り上げたこの図は、桜の連想から「東山桜荘子(ひがしやまさくらのそうし)」の主人公浅倉当吾を描いている。

5) 新版御府内流行名物案内双六(しんばんごふないりゅうこうめいぶつあんないすごろく) 江戸末期

江戸の料理茶屋をはじめ、さまざまな食べ物屋をテーマにした絵双六。上段中央の「上り」に近いマスほど高級な店が多く、一種の格付けがなされている。

 

6) 八百善御料理献立(やおぜんおりょうりこんだて)(江戸の料理屋番付(えどりょうりやばんづけ)) 江戸末期

江戸の料理茶屋を相撲の番付に似せてランキングしたもの。中央の柱や上段の店の中には、広重の「江戸高名会亭尽」に描かれたものも多い。

 

※すべて本館蔵

「年号と朝廷」(第3展示室)

開催概要

開催期間 2017年9月12日(火)~10月22日(日)
会場 国立歴史民俗博物館 第3展示室(近世)副室
料金 一般420(350)円/高校生・大学生250(200)円
中学生以下無料
(  )内は20名以上の団体
※総合展示もあわせてご覧になれます。
※毎週土曜日は、高校生の入館が無料です。
※高校生及び大学生の方は、学生証等を提示してください。
 (専門学校生など高校生及び大学生に相当する生徒、学生も同様です)
※障がい者手帳等保持者は手帳提示により、介護者と共に入館無料
開館時間 ~ 9月  9:30~17:00(最終入館は16:30まで)
10月~ 9:30~16:30(最終入館は16:00まで)
休館日 毎週月曜日(祝日の場合は開館し、翌日が休館)
主催 大学共同利用機関法人 人間文化研究機構 国立歴史民俗博物館


趣旨

現在の我々の生活の色々な局面に顔を出す「年号」。書類を記入しながら、今年が平成何年だったかを確認し直したこともあるでしょう。本展では、私たちの生活や考え方に影響を与え続けている年号がどのようにして決められたか、その歴史を振り返ります。改元がなされる理由、年号に使われる文字や改元のプロセス、さらにはそのプロセスに関わった朝廷官人たちの思惑とせめぎ合い、これらは、日本の思想、政治、学術、言語などに関わる様々な要素と密接に関連しています。

当館では、所蔵する公家「広橋家」の年号関係資料について共同研究を行ってきました。その成果に基づく今回の展示と関連企画が、年号が持つ意味について考えていただく機会となれば幸いです。

みどころ

・国宝・重要文化財を含む、年号に関わる資料約25点を公開!
・鎌倉時代に改元の諮問会議に参加した広橋経光の直筆資料を展示し解説

【展示代表】

水上 雅晴 みずかみ まさはる(国立歴史民俗博物館客員教授・中央大学文学部教授)

専門は中国哲学・日本漢学
主な研究テーマは、中国清代の学術、儒家経典の解釈史、日本における漢籍の受容、琉球漢学など
北海道大学文学部助手・助教、琉球大学教育学部准教授・教授を経て、現在は中央大学文学部教授
共同研究「広橋家旧蔵文書を中心とする年号勘文資料の整理と研究」代表

主な展示資料

・元秘抄(げんぴしょう)(高松宮家伝来禁裏本(たかまつのみやけでんらいきんりぼん))
・〔重要文化財〕経光卿改元定記(つねみつきょうかいげんさだめき)(民経記(みんけいき)(経光卿記(つねみつきょうき))」の一部。広橋家旧蔵記録文書典籍類(ひろはしけきゅうぞうきろくもんじょてんせきるい))
・〔重要文化財〕周易(しゅうえき)(田中穣氏旧蔵典籍古文書(たなかゆたかしきゅうぞうてんせきこもんじょ))
・〔国宝〕宋版史記(そうはんしき)(黄善夫刊本(こうぜんぷかんぽん))
・〔国宝〕宋版漢書(そうはんかんじょ)(慶元刊本(けいげんかんぽん))
・北野縁起絵巻(きたのえんぎえまき)(岩松宮本(いわまつみやぼん))

(すべて本館蔵)
計約25点(展示替えがあります)

 

1) 「醍醐天皇への右大弁公忠の奏上」(『北野天神縁起(岩松宮本)中巻』)

菅原道真死後の出来事が書かれている部分。延喜(901-923)から延長(923-931)への改元は、醍醐天皇が自分で年号の文字を選ぶという通常とは異なる形で実施されたが、その状況が説明されている。

2) 『元秘抄』5冊本(高松宮家伝来禁裏本)

改元に関わる公卿用の「傾向と対策」資料集。

3) 重要文化財『周易』(田中穣氏旧蔵典籍古文書)

『易経(えききょう)』の鎌倉写本。「白点(はくてん)」の痕跡が多数ある。

4) 国宝 宋版史記(黄善夫刊本)

刊本としては現存最古の『史記』で、全130巻(90冊)が揃っている。

5) 国宝 宋版漢書(慶元刊本)

刊本としては現存最古の『漢書』で、全120巻(60冊)が揃っている。

 

6) 〔重要文化財〕経光卿改元定記(広橋家旧蔵記録文書典籍類)

年号制定の会議に参加した広橋経光(1212-1274)による貴重な直筆記録。
※民経記(みんけいき)(経光卿記(つねみつきょうき))」の一部。広橋家旧蔵記録文書典籍類(ひろはしけきゅうぞうきろくもんじょてんせきるい)

 

※すべて国立歴史民俗博物館蔵

関連イベント

ギャラリートーク

日程 時間 担当者
9月16日(土) 10:30~11:15
水上 雅晴(国立歴史民俗博物館客員教授・中央大学文学部教授)
9月23日(土) 14:00~15:00 近藤 浩之(北海道大学大学院 教授)
石井 行雄(北海道教育大学釧路校 准教授)

 

ワークシート「展示資料に『年号』を探せ!」

年号が記されている資料を求めて、館内を探索しよう!
※展示期間中、毎日開催(配布場所:第2展示室)

 

歴博フォーラム

第106回「年号と日本文化」
日時 9月16日(土)13:00~16:00
講師 水上 雅晴(国立歴史民俗博物館客員教授・中央大学文学部教授)他(3名)
会場 国立歴史民俗博物館 講堂

事前申込制、当館ホームページ内申込みフォームまたは往復はがきにて。定員260名
※定員満了のため、お申し込みは締切りました

 

国際シンポジウム

「年号と東アジアの思想と文化」
日時 10月21日(土)、22日(日)※時間はれきはくホームページにてお知らせします
講師 清水正之(聖学院大学学長)、鄭吉雄(香港教育大学文化史講座教授)他
会場 国立歴史民俗博物館 ガイダンスルーム

事前申込制、研究者向け、定員55名(抽選)
詳細はこちら

 

「楽器と漆」(第3展示室)

開催概要

開催期間 2017年7月11日(火)~ 9月3日(日)
会場 国立歴史民俗博物館 第3展示室(近世)副室
料金 一般420(350)円/高校生・大学生250(200)円
中学生以下無料
(  )内は20名以上の団体
※総合展示もあわせてご覧になれます。
※毎週土曜日は、高校生の入館が無料です。
※高校生及び大学生の方は、学生証等を提示してください。
 (専門学校生など高校生及び大学生に相当する生徒、学生も同様です)
※障がい者手帳等保持者は手帳提示により、介護者と共に入館無料
開館時間 9時30分~17時00分(入館は16時30分まで)
休館日 毎週月曜日(祝日の場合は開館し、翌日が休館)
※8月14日(月)は開館します
主催 大学共同利用機関法人 人間文化研究機構 国立歴史民俗博物館


※画像クリックでチラシが開きます(PDF)

趣旨

古来、楽器の制作にあたっては、しばしば漆工技術が用いられてきました。
それは、第一に、漆の接着剤やコーティング剤としての実用的な側面が、音を奏でる道具としての楽器の制作に不可欠であったこと、第二に、外観上の美しさや貴さが求められた楽器にとって、艶やかな漆の塗装面や多彩な装飾技法がふさわしいとみなされたためでしょう。
今回の特集展示は、同時開催の企画展示「URUSHIふしぎ物語-人と漆の12000年史-」と連動し、漆利用という観点から楽器を見直していただきたいと思います。
本展では、本館が所蔵する紀州徳川家伝来楽器コレクションや生田コレクション 鼓胴(こどう)などの中から、漆技術を用いた楽器とその附属品を約60点展示します。楽器と漆の深い関わりに注目し、漆を用いた豊かな文化の一端をご紹介します。

展示場内では、機能と美的効果を兼ね備えた漆の使用例として、笛の樺巻(かばまき)、琴の塗装をとりあげるほか、笙(しょう)の匏(ほう)(頭)や箏(こと)の龍頭・龍尾など楽器自体に施された装飾、楽器を収納するための筒や箱の装飾、また、能楽で用いられる鼓の胴に表される機知に富む蒔絵意匠などを中心に展示を構成します。

なお、今回展示する生田コレクションは、当館受け入れ以来、初公開です。

企画展示「URUSHIふしぎ物語-人と漆の12000年史-」とあわせてぜひご覧ください。

『紀州徳川家伝来楽器コレクション』とは?

紀州藩の第十代藩主徳川治宝(とくがわはるとみ、1771~1852)が収集したわが国最大級の古楽器のコレクションです。笙や篳篥(ひちりき)、琵琶などの雅楽器を中心に、楽譜、その他の附属品、附属文書から構成されており、総点数161件(233点)を数えます。

『生田コレクション鼓胴』とは?

明治大正期、大阪麦酒会社(現アサヒビール株式会社)の創業に携わった生田秀(ひで、または ひいず)氏と、その長男で鼓胴研究者として知られる生田耕一(筒哉)氏とが、二代にわたり収集した能楽関係コレクションで、小鼓胴91点・大鼓胴8点、ほか関係資料からなります。室町時代以降の幅広い時代にわたる鼓胴が含まれ、美術工芸的にも価値の高いものです。

みどころ

・生田コレクションから、蒔絵螺鈿の美しい装飾のある鼓胴(こどう)を、本館受け入れ後、初公開!
・機能と美とを兼ね備えた楽器の漆装飾をお楽しみください。

【展示代表】

日高 薫 ひだか かおり(国立歴史民俗博物館 研究部情報資料研究系 教授)

専門は漆工芸史。
主な研究テーマは、蒔絵を中心とする漆工芸史および日本の装飾芸術の特質に関する研究、交易品としての漆器をめぐる文化交流に関する研究。また、在外の日本関係資料の調査研究をすすめている。東京大学文学部美術史研究室、共立女子大学国際文化学部日本文化研究の助手を経て、1994年に国立歴史民俗博物館に勤務。

主な展示資料

紀州徳川家伝来楽器コレクションより
 ・龍笛(りゅうてき)(銘「青柳」)鎌倉時代
 ・一節切(ひとよぎり)(銘「山風」)桃山~江戸時代初期 大森宗勲作
 ・笙(しょう)(銘「真具寿」)鎌倉時代
 ・袖笙(そでしょう)(銘「燕子」)江戸時代 山本藤右衛門作
 ・袖笙(そでしょう)(銘「鈴虫」)江戸時代
 ・枝垂桜蒔絵三管箱(しだれざくらまきえさんかんはこ) 江戸時代
 ・七絃琴(しちげんきん)「冠古」

生田コレクション 鼓胴より
 ・源氏夕顔蒔絵小鼓胴(げんじゆうがおまきえこつづみどう)
 ・真葛蒔絵小鼓胴(まくずまきえこつづみどう)
 ・龍田川蒔絵小鼓胴(たつたがわまきえこつづみどう)

計70点 (展示替えあり)

 

1) 一節切(ひとよぎり)(銘「山風」)
(紀州徳川家伝来楽器コレクションより)

一節切(ひとよぎり)は尺八の一種で、竹管に節を一つだけ含むことからこの名があります。

全面に漆を塗り、樺巻はさらに赤と黒に塗り分けています。

 

2) 袖笙(そでしょう)(銘「燕子(えんし)」)
(紀州徳川家伝来楽器コレクションより)

「袖笙(そでしょう)」の呼び名は、袖に入れて携帯できることに由来するといいます。匏(ほう)には、梨地に金蒔絵で、飛び交う愛くるしい燕が描かれます。

3) 袖笙(そでしょう)(銘「鈴虫」)
(紀州徳川家伝来楽器コレクションより)

「袖笙(そでしょう)」とよばれる通常より小振りの笙。匏(ほう)に平蒔絵で秋草に鈴虫の意匠を表しています。

4) 枝垂桜蒔絵三管箱(しだれざくらまきえさんかんばこ)
(紀州徳川家伝来楽器コレクションより)

笙・龍笛・篳篥の三管を納めるための箱です。金・銀・青金の薄肉高蒔絵で枝垂桜と葵紋を表した華麗なものです。

5) 七絃琴(しちげんきん)「冠古(かんこ)」
(紀州徳川家伝来楽器コレクションより)

中国製の琴は江戸時代の文人たちに好まれました。漆表面の美しい断文(亀裂)から「梅花断」の別銘をもつ古い楽器です。

6) 真葛蒔絵小鼓胴
(生田コレクション 鼓胴より)

金蒔絵に螺鈿を交えて、秋の野に繁茂する葛を描いています。

7) 龍田川蒔絵小鼓胴
(生田コレクション 鼓胴より)

流水に紅葉が漂う風情を、平蒔絵に絵梨地を組み合わせた技法で表しています。

8) 紫陽花蒔絵太鼓 (生田コレクション 鼓胴より)

紫陽花の色が変化することを、太鼓の音色に掛けた意匠です。蒔絵は古満休伯(こまきゅうはく)。

※すべて国立歴史民俗博物館蔵

関連イベント

ギャラリートーク

日程 時間 担当者
7月29日(土) 11:00~11:40
日高 薫 (当館情報資料研究系)