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「和宮ゆかりの雛かざり」「江戸のくらしと虫」「海をわたった漆器Ⅱ -江戸時代の輸出漆器-」「午年の馬」

館蔵資料を通して近世のようすにせまります。

  • 「江戸のくらしと虫」2013年7月23日(火)~9月1日(日)
  • 「海をわたった漆器II -江戸時代の輸出漆器-」2013年10月29日(火)~12月1日(日)
  • 「午年の馬」2013年12月17日(火)~2014年1月19日(日)
  • 「和宮ゆかりの雛かざり」2014年2月18日(火)~3月30日(日)

「和宮ゆかりの雛かざり」

開催概要

展示名称 「和宮ゆかりの雛かざり」
開催期間 2014年2月18日(火)~ 2014年3月30日(日)
会場 国立歴史民俗博物館 第3展示室

趣旨

幕末の動乱期、波乱にとんだ生涯を送ったことで知られる和宮は、仁孝天皇(にんこうてんのう)の第8皇女として生まれ、「公武合体」の証しとして文久元年(1861)14代将軍徳川家茂(とくがわいえもち)に降嫁しました。

今回の特集展示で展示する雛人形・雛道具類(当館所蔵)は、和宮所用として伝来したもので、有職雛(ゆうそくびな)と呼ばれる種類の雛人形と、江戸七澤屋(ななさわや)製の各種雛道具、御所人形および三ツ折(みつおれ)人形などが含まれます。

上巳(じょうし)(三月三日節)にとりおこなわれる雛まつりの行事は、江戸時代に入ってから広まりをみせ、多くの女性たちの支持を集めました。儀式が定着するにつれ、その装飾は華麗なものとなり、時代時代の流行を取り入れながら、寛永雛、元禄雛、享保雛、次郎左衛門雛、有職雛、古今雛と俗称される多彩な雛人形や、精巧に作られたミニチュアの道具類が生みだされていきました。『和宮様御雛満留』(宮内庁書陵部蔵)や『静寛院宮御側日記』(同)、『和宮様おひゐな御道具』(内閣文庫蔵)などの記録によれば、和宮は、数多くの雛人形を手もとにおき、また上巳にはあちこちと雛人形を贈りあうなど、雛まつりを楽しんだようです。当館所蔵の雛人形・雛道具はその一部をなしていたと考えられ、江戸時代の文化や工芸技術を伝える資料として貴重です。

みどころ

  • 和宮所用と伝えられる雛人形は、有職雛(直衣雛)という貴族的な面立ちの上品な人形で、幕末期の富裕層における雛人形の典型的な作例です。
  • 婚礼調度をミニチュアとして作った雛道具は、約80点を数えますが、当時の流行を反映して、ガラス製の器なども含まれます。江戸上野池之端にあった有名な雛人形店、七澤屋製と推測されます。
  • 御所人形・三ツ折(みつおれ)人形には、和宮が兄の孝明天皇(こうめいてんのう)の形見として譲渡された由緒のある人形も含まれます。

主な展示物(予定)

※内容は変更する場合があります。ご了承ください。

内裏雛及雛道具付御所人形より

  • 有職雛(直衣雛)
  • 御所人形 孝明天皇遺物など 13躯
  • 三ツ折人形 孝明天皇遺物 2躯
  • 須磨明石図屏風
  • 狗張子
  • 牡丹唐草文蒔絵雛道具

など約100点(すべて本館蔵)

 
有職雛(直衣雛)
 
四季棚
 
御所人形(牛若と弁慶)
 
内裏雛及雛道具

ギャラリートーク

2013年3月1日(土) 11時00分~ (40分程度)
解説:日高 薫 (当館情報資料研究系)
※開始時間までにエントランスホールに集合してください。

「江戸のくらしと虫」

開催概要

展示名称 「江戸のくらしと虫」
開催期間 2013年7月23日(火)~9月1日(日)
会場 国立歴史民俗博物館 第3展示室

趣旨

虫を愛でることは日本の文化の特色のひとつといえますが、近世においても、夏の蛍狩りや秋の虫聴きといった年中行事が人々の暮らしの中に定着しています。また、衣服をはじめ櫛や簪などの装身具といった装いにも虫の意匠は根付いています。近世後期には、博物学の影響により、科学的なまなざしで多種多様な虫が描かれるようになりました。

本展示は、主として近世期の館蔵資料から虫と関わるものを選び、虫と年中行事、博物学的な視点での虫、虫の意匠、などの視点から、近世の人々のくらしの中における虫との関わりを垣間見ようとするものです。

みどころ

飯室楽圃(いいむろらくほ)の『虫譜図説』は、江戸時代後期につくられたさまざまな虫の図譜の代表的なもののひとつで、当時も虫に対する関心がたいへん高かったことを物語っています。数百種もの虫類を収録していますが、現代の生物学上の分類とは異なった分類のしかたが興味をひきます。
歌麿の狂歌絵本『画本虫撰』や森春渓の画譜『春渓画譜』なども、博物学的な関心を背景に生まれたものですが、それらは江戸後期の高度な木版技術を駆使した美術作品としても高い評価を得ています。
蒔絵による櫛や楽器などの器物の意匠は、近くでじっくりとご覧になれば、その緻密で繊細な技巧に驚かされることでしょう。

主な展示物(予定)

※内容は変更になる場合があります。

  • 俳優見立夏商人虫売り
  • 江戸名所図会 道灌山聴虫(どうかんやまむしきき)
  • 夏の夜虫合戦
  • 画本虫撰
  • 虫譜図説
  • 団扇と虫籠(染色用型紙)
  • 丸揚羽蝶金蒔絵櫛
  • 鼈甲秋草虫蒔絵櫛「羊遊斉作」
  • 濃萌葱紋縮緬地流水杜若蛍模様染縫振袖(こいもえぎもんちりめんじりゅうすいかきつばたほたるもようそめぬいふりそで)
  • 紅絹縮地菜花蜻蛉蝶模様繍唐幡(べにきぬちぢみじなのはなとんぼちょうもようぬいからばん)
  • 鉄六枚張桃形前付臥蝶兜(てつろくまいばりももなりまえつきふせちょうかぶと)

など約40点(すべて本館蔵)

 
夏の夜虫合戦
1868(明治元年)
ススキの茂みでさまざまな虫たちが二手に分かれて戦っている。なにやら楽しげな雰囲気さえ漂うが、実は戊辰戦争を諷刺したもの。
 
江戸自慢三十六興 落合ほたる
三代歌川豊国画 1864(元治元)年
落合(新宿区下落合)は蛍狩りの名所として知られており、『江戸名所図会』には、「(蛍が)玉の如く又星の如くに乱れ飛んで、光景最も奇とす」とある。
 
画本虫撰(えほんむしえらみ)
喜多川歌麿画 1788(天明8)年
歌麿の狂歌絵本の代表作のひとつ。江戸後期の高度な木版技術を駆使して、虫の質感再現がはかられている。
 
 
虫譜図説 巻之四
飯室楽圃著 江戸時代末期
江戸後期の虫の図譜の代表的なもの。明の李時珍の
『本草綱目』の分類に従って数百種類もの虫が収録されている。
 
濃萌葱紋縮緬地流水杜若蛍模様染縫振袖
江戸時代中期
蛍が小袖のデザインに使用される例は珍しいが、カキツバタの組み合わせは、女性たちの在原業平に対する思いを蛍になぞらえた、能の『杜若』をふまえたものといわれている。
 
鉄六枚張桃形前付臥蝶兜
江戸時代
蝶が大きな羽を広げた形をあしらった奇抜な変わり兜。

「海を渡った漆器Ⅱ-江戸時代の輸出漆器-」

開催概要

展示名称 「海を渡った漆器Ⅱ-江戸時代の輸出漆器-」
開催期間 2013年10月29日(火)~12月1日(日)
会場 国立歴史民俗博物館 第3展示室

趣旨

16世紀後半以降、大量の漆器が日本の特産品として海外に向けて輸出されました。西洋人の注文によって製作されたこれらの漆器は、西洋に由来する形態の家具調度に、日本独特の蒔絵や螺鈿の装飾をほどこしたものでした。艶やかに光る黒い塗装面に、重厚な黄金の輝きが映える蒔絵漆器、また彩り鮮やかな螺鈿漆器は、ヨーロッパの富裕層のあいだで評判となり、日本という東方の未知の国を象徴する物品として愛好されたのです。

本展示では、国立歴史民俗博物館が所蔵する輸出漆器のなかから、江戸時代に輸出された漆器に焦点をあてて紹介し、漆器をめぐる海外交流の歴史を概観します。

みどころ

国立歴史民俗博物館が所蔵する多種多様な日本製輸出漆器を通じて、江戸時代における対外交流を肌で感じていただきます。展示されている漆器は、すべて、西洋からの里帰り品です。

ヨーロッパの王侯貴族を感嘆させたのは、日本製漆器の技術力とデザインのユニークさでした。交易品として海を渡った漆器は、貿易量や貿易額からみれば、マイナーな商品でしたが、日本のシンボルとして西洋諸国で愛好され、「japan」と呼ばれるようになったのです。

江戸時代を通じて、同じ商品ばかりを輸出していたわけではなく、当時の国際情勢や注文主の事情・好みの変化などを反映して、輸出漆器のスタイルも変化しました。また、輸出された漆器には、ヨーロッパ家具に由来する形態や、西洋の家紋入りのデザインなど、日本国内向けの漆器には見られない特色がいたるところに認められます。世界史の中で、日本が決して孤立した存在ではなかったことを実感していただけます。

主な展示物(予定)

※内容は変更になる場合があります。

  • 故事人物蒔絵螺鈿瓶子(一対)
  • 山水蒔絵小箪笥
  • 草花風景蒔絵薬箪笥
  • 牡丹文蒔絵大皿(一対)
  • 紋章付山水人物蒔絵皿
  • 山水人物蒔絵ナイフ箱
  • 楼閣山水蒔絵髭皿(一対)
  • 山水草花蒔絵書物机
  • フリードリヒ2世肖像図螺鈿蒔絵プラケット
  • ケスティウスのピラミッド蒔絵プラーク
  • 山水花鳥螺鈿化粧箪笥
  • 花卉螺鈿書箪笥
  • 花鳥螺鈿脚付裁縫箱
  • 花鳥螺鈿バイオリン箱

など約30点(すべて本館蔵)

 
1) 牡丹文蒔絵大皿
江戸時代中期
直径が50センチほどの極めて大型の皿。形態は輸出磁器の大皿に極めて似通っており、文様の描写や配置にも磁器からの影響が認められる。ヨーロッパでは室内装飾用とされたもの。
 
2) 花鳥螺鈿バイオリン箱
江戸時代~明治時代
江戸時代末期から明治時代初めにかけて西洋向けに輸出された漆器の一つ。総体を黒漆塗とし、貝の下に彩色を施した伏彩色螺鈿技法で花鳥文様を表す長崎製の輸出漆器(長崎青貝細工)の典型的作例である。
 
3) 花鳥螺鈿脚付裁縫箱
江戸時代~明治時代
細かい仕切をもつ裁縫箱に脚を付けた裁縫机。総体を黒漆塗とし、伏彩色螺鈿の技法で、花鳥の文様をあらわす。裁縫箱や裁縫机は江戸後期の輸出漆器の人気商品であった。
 
4) 故事人物蒔絵螺鈿瓶子
江戸時代初期
特別注文によって製作されたと推測される極めて高品質の輸出漆器の例である。日本の伝統的漆器には見られない器形の一対のボトルで、各々に、猩々と菊慈童、葡萄棚と虎渓三笑という水または酒に関連の深い文様のほか、さまざまな幾何学文を表す。卓越した蒔絵と螺鈿による精緻な装飾が見どころ
 
5) 山水人物蒔絵ナイフ箱
江戸時代中期
深い箱の内部に、ナイフやフォークなどを刺して入れる形式の箱。身と蓋とを背面の蝶番で留め、中にはビロードの布を貼る。この形式の家具は、1720年代以前のヨーロッパには見られず、18世紀に入ってから新たに流行した。
 
6) 楼閣山水蒔絵髯皿
江戸時代
楕円形の一箇所を内側に刳った形式の一対の皿。男性が髯を剃るときに、顎にあてて使用するための道具で、形態はヨーロッパに由来する。輸出された磁器にしばしば見られるが、漆器の例は珍しい。
 
7) 山水蒔絵小箪笥
江戸時代
黒漆地の余白を生かし、高蒔絵の技法を主体とした装飾は、東インド会社の漆器貿易が最盛期を迎えた17世紀半ばから後半にかけての典型的な作風を示している。
 
8) 紋章付山水人物蒔絵皿
江戸時代
直径が50センチ以上ある円形の大皿。口縁部に、富士山にいたる東海道の様子を表し、その中にはオランダ人らしき人物も描かれている。中央にアムステルダムで活躍したヒンローペン家の紋章があることから、特注品であったことが知られる。金・銀・青金の高蒔絵を主体に、赤・緑漆も用いた精細な作風。大小の蒔絵皿は、17世紀後半から18世紀前半にかけて大量に輸出され、類品としては、紋章以外の図柄を同じくするファルケニール家紋入皿(アムステルダム国立美術館)や、家紋入山水人物文皿(九州国立博物館)が知られる。
 
9) 花卉螺鈿書箪笥
19世紀前半
螺鈿技法に、部分的に蒔絵を併用し、ヨーロッパスタイルの大型家具を装飾したもので、19世紀前期の長崎青貝細工の典型例である。家具の規模、卓越した螺鈿技術からみて、特別の注文に応じて製作されたものと想像される。現在知られている遺品の中では最も西洋趣味のデザインを示している点が注目される。
 
10) 山水草花蒔絵書物机
江戸時代後期
17世紀後半期の日本製漆器のパネルを、新しく作ったルイ16世スタイルの書物机に化粧貼りしたもの。18世紀以降、日本製漆器の入手が困難となり、また、17世紀に輸出された日本製漆器は貴重ではあるが流行遅れとなったため、これをリフォームして新しい家具を作ることが盛んに行われた。パネル以外の部分には、東洋の漆工技術を模倣して西洋で発達した模造漆(ジャパニング)の技術が駆使されている。

「午年の馬」

開催概要

展示名称 「午年の馬」
開催期間 2013年12月17日(火)~ 2014年1月19日(日)
会場 国立歴史民俗博物館 第3展示室

趣旨

当館は近年、新春にその年の干支に因んだテーマのフォーラムを開催しています。平成26年の干支は午ですが、館蔵資料の中から馬に関わる絵や文様を有する工芸品、版画、馬具などを展示いたします。

さまざまな絵画作品や工芸品の中に馬がどのように造形化されているか館蔵資料をもとに概観し、「近江のお兼」や「宇治川の先陣争い」など馬にまつわる故事を描く錦絵を読み解きます。また、競馬や曲芸など都市生活における馬との関わりなどについても紹介いたします。

みどころ

馬に関する説話の造形や、工芸品における馬の意匠などの他に、見世物や競馬など、観衆を集めた馬という観点で展示を構成してみました。江戸時代以前で馬を競わせる行事としては、毎年5月5日に京都の上賀茂神社境内でおこなわれる神事である賀茂の競馬が有名で近世期の屏風絵の画題としても定着しています。競馬を単独で描くものと、他の風俗場面と組み合わさるものがありますが、従来あまり展示機会の無かった館蔵の「賀茂競馬・犬追物図屏風」は後者の例です。

明治維新後では、欧米の競馬がもたらされ各地でレースが開催されました。それらの様子は、開化風俗を描く錦絵によくとりあげられています。また、両国の見世物小屋では曲馬が人気のある出し物のひとつでしたが、開国以後は欧米のサーカス曲馬が多くの横浜絵に描かれています。維新前後を境に興行の世界で馬との関わりに大きな変化がおこったことも垣間見たいとおもいます。

主な展示物(予定)

※内容は変更になる場合があります。

  • 賀茂競馬犬追物図屏風
  • 歌川国芳画 忠孝名誉奇人伝・兼女
  • 四代歌川国政画 しん板馬のりつくし
  • 歌川国利画 東京銘勝会・不忍の競馬
  • 前田青邨写生帖(鞍・鐙)
  • 蜻蛉蒔絵鞍・鐙
  • 馬扇面笹模様一つ身

など約25点(すべて本館蔵)

 
「しん板馬のりつくし」明治時代
両国の見世物なので曲馬は人気の出し物だったが、横浜開港以後は西洋のサーカス曲馬も流入して、さまざまな錦絵に描かれている。
 
「忠孝名誉奇人伝 兼女」 江戸時代 天保14~弘化4年(1843~1847)
近江に住む怪力のお兼は、あるとき暴れる馬の手綱を下駄で踏んでおとなしくさせたという。この伝説は江戸末期の錦絵の好画題であった。
 
「東京銘勝会 不忍の競馬」明治時代 明治19年(1886)
わが国の洋式競馬の発祥の地は開港地横浜だが、維新以後、各地で開催されるようになった。上野公園では明治17(1884)年から同25年まで、不忍池の周りをコースとして春・秋に競馬が開催された。
 
「賀茂競馬(くらべうま)犬追物図屏風」(部分)江戸時代
5月5日に京都の上賀茂神社の境内で神事としておこなわれる競馬(くらべうま)は、近世の屏風の画題として人気があった。当館の屏風は、競馬に犬追物を組み合わせている。
 
「両ごく大曲馬の賑ひ」(部分)1851(嘉永4)年
両国橋西詰めで興行された樋口弥多丸の見物小屋の前の雑踏を描く。絵看板から判る曲馬の演目は須磨浦(熊谷と敦盛)、三番叟、狐忠信、法界坊、殺生石など、歌舞伎や説話に因むもの。歌川国芳画。
 
「蜻蛉蒔絵鞍・鐙」(上田綱治郎武器武具コレクション)
正保3年(1646)
「正保三年季九月吉日(花押)」の銘をもつ。鞍・鐙とも総体を黒漆塗とし、全体に金蒔絵で、勝虫・将軍虫と呼ばれて武具や馬具の意匠に好まれた蜻蛉の文様を散らしている。鞍は、前輪と後輪の表面に起伏を設けない海無鞍の形態である。
   
「馬扇面笹模様一つ身」江戸時代後期・19世紀
男の子の祝い着。馬は男の子の祝い着によく使われるモティーフの一つであるが、馬術にたけた勇壮な男子に成長するよう願いが込められているのであろう。