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「『延喜式』ってなに!?」

「『延喜式』ってなに!?」(第2展示室)

開催概要

開催期間 2016年8月23日(火)~ 9月19日(月祝)
会場 国立歴史民俗博物館 第2展示室
料金 一般420(350)円/高校生・大学生250(200)円
中学生以下無料
(  )内は20名以上の団体
※総合展示もあわせてご覧になれます。
※毎週土曜日は、高校生の入館が無料です。
開館時間 9時30分~17時00分(入館は16時30分まで)
休館日 毎週月曜日(祝日の場合は開館し、翌日が休館)
主催 大学共同利用機関法人 人間文化研究機構 国立歴史民俗博物館

趣旨

『延喜式』をご存知ですか?10世紀に作られた法制書、古代官人の業務マニュアルです。
そこにはお祭りや宮中で使う物品の原材料、地方から納入される貢納品など、様々な内容が含まれており、さながら「古代の百科全書」ともいえます。

『延喜式』は、全部で50巻からなる大部な内容でもあったため、難しいもの、かたくるしいものの代名詞のように用いられたこともありましたが、一方で、江戸時代以来、古代のことを調べるときには常に参照されてきた資料でもあります。

本展では、人間文化研究機構基幹研究プロジェクト「古代の百科全書『延喜式』の多分野協働研究」「総合資料学の創成」が今年度より開始されたことをうけ、その研究成果の一端を速報的にご紹介します。

【展示代表 紹介】

小倉 慈司(おぐら しげじ)
(国立歴史民俗博物館 研究部歴史研究系 准教授)

専門は日本古代史および史料学。特に、古代神祇制度の研究、禁裏・公家文庫の研究をしている。1999年に博士(文学)の学位(東京大学)を取得。宮内庁書陵部編修課主任研究官としての経験を経て、現在、国立歴史民俗博物館研究部准教授を勤める。

みどころ

安倍晴明の末裔が写した『延喜式』公開!

陰陽道を家職とする土御門家の当主が江戸時代初めに写した『延喜式』を展示します。

小さくなっていく銭貨…『延喜式』から古代のお金をさぐる!

『延喜式』には、すり減った銭についてなど、お金に関することも規定されていました。

『延喜式』に見える“アワビ”の謎にせまる!

バラエティに富んだ加工アワビの名称。果たしてどのようなものだったのでしょうか?

『延喜式』編纂を命じた醍醐天皇はどんな人だったか?彼の人柄を紹介!

『古今和歌集』も編纂させた文化人でしたが、意外にも鷹好きでした。

展示構成

★第2展示室内に、8つの展示ケースを設け、テーマごとに実物資料を展示します。
I『延喜式』とは
『延喜式』の概要や『延喜式』を写し伝えた土御門家について紹介します。
II『延喜式』の諸相
『延喜式』の内容から銭貨や印・アワビに関する規定などいくつかをピックアップして紹介します。
III『延喜式』の時代
『延喜式』と同時代に編纂された『古今和歌集』、また『延喜式』『古今和歌集』の編纂を命じた醍醐天皇について紹介します。
IV『延喜式』と平安貴族
平安貴族は『延喜式』をどのように使っていたかを紹介します。

主な展示資料

・延喜式 土御門(つちみかど)家旧蔵 
・重要文化財 延喜式巻五十 三条西(さんじょうにし)家旧蔵
・大川天顕堂(おおかわてんけんどう)銭貨コレクション 古代銭貨 和同開珎~乾元大宝
・重要文化財 八街(やちまた)市出土銅印
・聆濤閣集古帖(れいとうかくしゅうこちょう) 
・類聚雑要抄(るいじゅざつようしょう)
・上総国安房郡調鰒木簡(かずさのくにあわぐんちょうあわびもっかん) 複製
・古今和歌集(こきんわかしゅう) 高松宮旧蔵
・重要文化財 文集(ぶんしゅう) 古今和歌集真名(まな)序
・大かがみ絵詞(えことば) 高松宮旧蔵
・左経記(さけいき) 高松宮旧蔵

計約30点 ※すべて本館蔵

1) 延喜式 土御門家旧蔵 1617~18年頃書写

10世紀に編纂された法典。全50巻で、官司別にまとめられており、古代官人にとって、業務マニュアルのようなものでした。原本は現存しておらず、後世に写された写本が伝わっています。展示本は江戸時代初めに安倍晴明の末裔である土御門泰重によって書写された写本です。

★Ⅰ章・Ⅱ章にて展示

2) 重要文化財 延喜式巻50 三条西家旧蔵 鎌倉写

『延喜式』巻50の現存最古の写本。全50巻中、最後の巻であり、商売をする人はすり切れて銭文不明な銭貨の受け取り拒否をしてはいけないことなど雑多な内容が規定されています。

★Ⅱ章にて展示

3) 大川天顕堂銭貨コレクション 古代銭貨和同開珎~乾元大宝 708~958年

古代国家によって発行された銅銭。時代がくだるにつれ、原料の不足などもあって径が小さくなるなど、品質が低下していったことが見てとれます。

★Ⅱ章にて展示

4) 重要文化財 千葉県八街市出土銅印「山辺郡印」8世紀

1967年に畑から出土した奈良時代中期の銅印。「山辺郡」とは上総国の山辺郡のことです。印面は4.7センチ四方で、郡を管轄する国の印より小さなサイズで作られています。

★Ⅱ章にて展示

5) 類聚雑要抄 巻1下 江戸写

12世紀中頃の故実書『類聚雑要抄』を江戸時代に立体図として描き直し彩色したものです。饗宴の際の配膳や調度・装飾が指図といわれる見取り図で描かれ、平安時代の貴族の食文化がうかがえます。画像は永久4年(1116)正月に東三条殿で行われた摂関家藤原氏による饗宴の様子です。

★Ⅱ章にて展示

6) 大かがみ絵詞 巻8上 高松宮旧蔵 江戸前期写

平安時代の歴史物語『大鏡』をもとに江戸時代に製作された絵巻物。『延喜式』を編纂させた醍醐天皇についての逸話も記されています。

★Ⅲ章にて展示

関連イベント

ギャラリートーク

日程 時間 担当者
2016年9月3日(土) 11:00~11:30 三上 喜孝 (当館研究部)
2016年9月4日(日) 13:30~14:00 仁藤 敦史 (当館研究部歴史研究系)
2016年9月10日(土) 11:00~11:30 小倉 慈司 (当館研究部歴史研究系)
2016年9月11日(日) 13:30~14:00 清武 雄二 (当館研究部)
2016年9月17日(土) 11:00~11:30 小倉 慈司 (当館研究部歴史研究系)
仁藤 敦史 (当館研究部歴史研究系)
三上 喜孝 (当館研究部)
清武 雄二 (当館研究部)

※開始時間までに第2展示室にお集りください。