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開催要項趣旨展示の紹介関連の催し

開催要項

失われゆく番匠(ばんしょう)の道具と儀式
開催期間1996年7月2日(火)~9月1日(日)
日程 1996年7月2日(火)~9月1日(日)
うち、毎月曜日(7/8、15、22、29、8/5、12、19、26)は休館日
時間 午前9時30分~午後4時30分(入館は4時まで)
主催 国立歴史民俗博物館
常設展示の入館料で観覧できます。
毎月第2・4土曜日は小中学生、高校生は入館無料です。
期間中、7月13日(歴博講演会)を除く毎週土曜日午後1時30分より企画展示の解説を行います。

展示ポスター

趣旨

「番匠(ばんしょう)」とは、建築技術者すなわち今でいう大工のことで、その番匠が使う道具の一つに墨壷がある。墨壷は、木材を削ったりする前の墨付けをする道具で、奈良時代から使われていた。墨付けによって工事が始まり、仕事の良し悪しも墨付けで決まることから、墨壷には工事の安全と成功を祈る番匠の願いが込められていて、もっぱら機能性が求められる他の道具とは異なり、精神的な意義があり、造形的な美しさをもつものが多い。

また、建築工事では、工程上の節目ごとに無事成就を祈り、進捗を祝う儀式が行われてきた。なかでも、木造りを始める前の釿(ちょうな)始め、軸組が組み上がったときの棟上げは、番匠にとってとくに重要な儀式であり、御幣や弓矢を飾り、供物を供え、儀式用に調えられた墨壷や曲尺(かねしゃく)・釿などの道具を使って厳粛に行われる。

しかし、近年は墨壷のもつ重要性が忘れられ、それを使った古来の儀式も失われゆく状況にある。今回の展示は、第一級の墨壷コレクション(大塚集古資料館旧蔵)を収蔵した機会に、墨壷とそれに関連する儀式を取り上げたもので、それらの内容と歴史的意義を明らかにし、日本古来の建築文化を再認識することとしたい。

展示の紹介

1.墨壺

墨壺
墨壷の意義と働き/日本の墨壷/朝鮮半島・中国の墨壷

2.儀式

 

 

儀式用道具
儀式用道具/釿始めと棟上げ/文献・棟札にみる儀式と工程
錦絵

錦絵[幕府御本丸棟上式の図] 岩松宮本[北野天神縁起絵巻]

主な展示資料

  • 墨壷
    • 栄根遺跡出土墨壷(川西市蔵)
    • 東大寺南大門発見墨壷(東京芸術大学蔵)
    • 天正五年在銘墨壷(竹中大工道具館蔵)
    • 天保九年在銘墨壷(東京大学蔵)
  • 儀式用道具
    • 日光東照宮儀式用道具一式
    • 春日大社儀式用道具一式
    • 松井家伝来儀式用道具一式(松井建設蔵)
    • 平内家伝来儀式用道具一式(東京国立博物館蔵)
    • 江戸城本丸御殿上棟式木槌(清水建設蔵)
    • 瑞龍寺山門文政元年上棟式柱
  • 絵巻等
    • 松崎天神縁起(巻六、防府天満宮蔵)
    • 春日権現験記模本(巻一、東京国立博物館蔵)
    • 真如堂縁起(中・下巻、真正極楽寺蔵)
    • 長谷寺縁起(下巻、出光美術館蔵)
    • 三芳野天神縁起(三芳野神社蔵)
    • 伊勢和山中興図(極楽寺蔵)
  • 文書等
    • 長命寺本堂大永再建観進書
    • 西本願寺本堂宝暦九年上棟式関係文書
    • 立川流宮坂昌敬関係文書(諏訪市博物館蔵)
    • 志那神社本殿永仁六年旧棟木
    • 苗村神社西本殿徳治三年棟札

関連の催し

歴博講演会

第151回歴博講演会 匠のまつり

日時 1996 年 7 月 13 日(土) 午前 1 時 30 分 ~ 午後 3 時 30 分
会場 歴博講堂
話者 濱島正士(情報資料研究部)