企画展示をより楽しく、より深く鑑賞していただくため、本館の広報担当職員が企画展示の担当者から展示の見どころや作り手の気持ちを取材します。

今回は3月10日から開催する企画展示「大ニセモノ博覧会-贋造と模倣の文化史-」の代表者である西谷大教授(研究部考古研究系)にお話をうかがって来ました。

展示案内「大ニセモノ博覧会」

各回リンク
第1回 第2回 第3回 第4回 第5回 第6回

第6回 博物館のレプリカ・コピー

 今回始祖鳥を取り上げるとお聞きしたのですが。

西谷:始祖鳥も出ますよ。「博物館のレプリカ・コピー」のコーナーで取り上げます。


始祖鳥化石〈Archaeopteryx
siemensii〉複製
(千葉県立中央博物館蔵)

始祖鳥の標本は研究のためにどんどんレプリカが作られていくのですが、研究の進展によってレプリカの内容も変わっていくんですよ。つまり、レプリカを作るということ自体に学問的背景があり、研究の柱であったという話をここではしています。

 なるほど。レプリカ製作は研究と密接に結びついているんですね。当館も展示場にたくさんのレプリカがありますよね。

西谷:今までお話してきたニセモノと研究に伴って製作するレプリカでは大分性格が違います。博物館においてレプリカを作ることの意味を考えるという点では、次の小判や銭貨の復元はまさにその例です。ここは担当の齋藤先生に話していただいた方がよろしいと思います。

齋藤:ではバトンタッチして、私から小判の製作工程の復元について少しお話しさせていただきます。小判をどのように復元するかと言いますと、まず原料のインゴットを鋳込んで作り、叩いて薄くします。それを小さく切り、さらに叩き延ばしていって小判の形にします。そして最後に色付(いろつけ)という作業を行います。


齋藤努教授

 色付って何ですか?

齋藤:銀がたくさん含まれている小判だと、そのままでは白っぽい色なんですね。そこで6種類の薬品を使って表面の銀を溶かす色付という作業を行うと、みなさんがイメージされるような金色の小判が出来上がります。

 こうした製作工程はどうやって復元されるんですか?

齋藤:文書や絵図をもとにして復元しています。言葉で説明している研究書はあるのですが、実際につくってみた研究者はなかなかいないですね。製作にはお金もかかりますし(笑)。ただ、実際にやってみないと分からないこともたくさんあります。例えば原料のインゴットをつくる鋳型ですが、この大きさが分かりませんでした。そこで絵図や日銀の研究者の方のご意見を参考にしながら製作しました。

 まさに工程を一つ一つ検討していくことがそのまま研究になっているんですね。

齋藤:そうですね。今回の展示では日本銀行から元禄小判や天正大判などの実物もお借りしてお見せしますよ。ぜひ製作工程とあわせてご覧ください。


色付前の小判(左)と色付後の小判

 齋藤先生、ありがとうございました。最後に西谷先生に今回の大ニセモノ博覧会の見どころについてお聞きしたいと思います。

西谷:いろいろな資料がある博物館を楽しんでもらいたいです。今回の展示でもさまざまな時代や分野の資料をお出ししますので、必ずどこか興味を持ってもらえる部分があると思います。そして、「ホンモノより価値のあるニセモノもある」といった資料の持つ奥深さを少しでも感じてもらいたいですね。普段あまり博物館に行かれない方にも「博物館って意外と面白いな」と思っていただければうれしいです。  さらに言えば、私たちが研究しているものも最終的には人間です。特に今回は並んでいるモノの背後に人間が見えている展示じゃないかなと思っています。その時にモノの面白さ、ニセモノの面白さ、そして人間の面白さを感じていただけたらなと。そこまで思っていただければ言うことはありません。

 今日はお忙しいところありがとうございました。

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