開催要項
趣旨
文書は、歴史を語る史料として欠かせないものです。文字史料であることから、まず書かれた内容が注目されますが、しかし文書が表現している意味はそれだけではありません。様式や、文字の書き方、素材、大きさなど、果たすべき機能や相手との関係を反映したさまざまな意味が盛り込まれ、歴史的に変化し続けており、物資料としても魅力にあふれています。
また、文書は、その内容が伝達された時にだけ意味があるのではなく、それが保存され伝来する過程でも、存在し所持されることによって二次的な機能を果たしました。
このような、さまざまな「機能と形」に注目して、今日に伝来した中世文書の総合的な展示を行います。
これまでにも中世文書の展示はありましたが、多くは、「○○家文書」「○○寺文書」のような、特定の武士の家や寺院に伝わった文書群を単位として扱ったものでした。しかし、それでは中世文書の全体像や、バラエティーに富んだ面白さ、そして歴史的な変化をうまく理解することができません。そこで今回の展示では、豊富な館蔵コレクションを生かし、また他の所蔵者からもご出品いただいて、これまでにない総合的な中世文書の展示とすることができました。
一般向けのさまざまな切り口や解説も用意して、古文書やくずし字について知識のない来場者にも、古文書を「見る楽しさ」を味わっていただける展示となっています。
見どころ-この展示を見ずして中世文書は語れない!
空前の総合的中世文書展
これだけのバラエティーに富んだ中世文書が一気に公開されたことは、これまでになかったのではないでしょうか。一点だけでも貴重な中世文書約220点のオンパレード。ジャンルと時代を超えた、文書で見る総合的な中世史。古文書に興味のある方、中世という時代の好きな方には、見逃せない展示です。
大学などの古文書学習にもぴったり
特に、大学などで歴史を学んでいる方には、まさに必見です。古文書学は、文書のさまざまな様式と、それが歴史的背景とどのように関わるかが最も重要ですが、まさに実物で古文書学を学ぶことができる貴重な機会です。武家文書、寺院文書といった特定分野に限定しない展示ですので、一巡すれば中世古文書学の概要を習得できます。
名品も多数出品
ひとつひとつの文書としても、有名な物、珍しい物が多く出品されています。「源義経自筆書状」は、世の中に二つしかないと言われるものですし、自筆のものだけでも、このほかに、平宗盛、後醍醐天皇、足利尊氏、一条兼良、三条西実隆などがあります。歴史上の有名人が出した文書は、枚挙にいとまがありません。
読めなくても大丈夫!見た目で楽しむ古文書展
古文書というと、とかく「読めない」と敬遠されがちですが、今回の展示は内容を読む必要はありません。様式や名前の書き方、紙の大きさや色、といった、「見た目」に表された情報を読み取っていくことが主眼ですから、くずし字が読めなくても大丈夫です。 読むことに挑戦したい方も、もちろん歓迎!すべての文書に活字に起こした読みが付き、スマートフォンを使った音声による支援もあります。
楽しい体験コーナーもあります
文書を見る・読むだけでなく、作ってみる体験もできます。文書はどうやって折りたたむのか? 花押はどうやって書くのか?少しだけ、中世人になった気分が味わえます。
展示構成
Ⅰ 文書の様式と背景
- 公式様(くしきよう)文書(律令による文書)と公家様文書
1 公式様文書、2 公家様文書 - 武家様文書
1 源頼朝の文書、2 武家文書の諸様式
Ⅱ 文書の作成・伝達と保存(1) -公的な文書の動き
- 文書の発給と保存
1 紙背文書に見る文書のライフサイクル - 命令と執行
1 公武の合意形成と伝達、2 軍忠と承認、恩賞と推挙、3 申請と決済―複合する文書 - 公家官僚機構の意志決定と執行
- 記録との複合―日記に貼り継がれた文書
Ⅲ 文書の作成・伝達と保存(2) -当事者間の文書
- 土地売券と紛失状
1 平安時代の売券 、2 土地売券―手継券文 、3 紛失状 - 契約と起請
1 契状、2 起請文 - 組織に関わる文書
1 寺社の組織と経営、2 村の由緒と住人、3 公家の家政、4 公家の組織、5 武家の組織と儀礼
Ⅳ 素材と手段
- 料紙の種類と用法
1 素材と製法、2 色の付いた紙、3 文書の折り方・包み方 - 公示される文書 (1)-木や石に書かれた寄進状
- 公示される文書 (2)-制札
1 制札の様式、2 制札の機能
Ⅴ 近世文書への展開
- 印判状
1 戦国大名の印判状、2 織田信長の印判状、3 豊臣政権の印判状
エピローグ 文書の後世における利用
- 身分証明としての中世文書
- 花押手鑑
- 床の間飾り
- 成巻文書
主な展示資料
※期間中、展示替えを行います。
- 田中穣(ゆたか)氏旧蔵典籍古文書(本館蔵)
- 広橋家旧蔵記録文書典籍類(本館蔵)
- ◎越前島津家文書(本館蔵)
- 豊後若林家文書(本館蔵)
- 石見亀井家文書(本館蔵)
- ◎栄山寺文書(本館蔵)
- ◎高山寺文書(本館蔵)
- ◎若狭秦家(はたけ)文書(京都大学総合博物館蔵)
- ◎実隆公記(さねたかこうき)(東京大学史料編纂所蔵)
- 大正三年十月 日本軍旅団司令部青島民家宛禁制類(国文学研究資料館蔵)
など約220点。※◎は重要文化財。
※展示物などは都合により変更となる場合があります。ご了承下さい。
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フロアマップ:著名人などの文書
ポスター・チラシで紹介した文書などの展示位置を示しました。源義経の全文自筆文書は日本に2通しか残っていない貴重な資料のうちの1通です。是非お見逃しなく!
担当者インタビュー 企画展示「中世の古文書 -機能と形-」編
企画展示をより楽しく、より深く鑑賞していただくため、担当者が展示の見どころや作り手の気持ちを語ります。
関連の催し
女流講談師一龍斎貞寿の「五条の橋」 開催
今回、源義経の自筆書状が展示されることに関連し、義経と弁慶が最初に出会った「五条の橋」の物語を、今注目を集める一龍斎貞寿が講談でお聞かせいたします。
※開催終了しました
日時 | 2013年10月31日(木)、11月7日(木)14時30分~15時10分 |
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会場 | 歴博講堂 |
歴博フォーラム
第91回 「中世の古文書-機能と形-」
歴博講堂にて開催、入場無料、要事前申込、先着順(定員260名)
※開催終了しました
日時 | 10月19日(土)13時00分~16時30分 |
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講師 | 井原 今朝男 (本館歴史研究系) 他 |
歴博講演会
歴博講堂にて開催、入場無料、当日先着順に受付、定員260 名
※開催終了しました
第359回 「中世の古文書を考える」
日時 | 11月9日(土)13時00分~15時00分 |
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講師 | 小島 道裕(本館歴史研究系) |
ギャラリートーク
開始時間までに企画展示室入口に集合してください。
※入館料が必要となります。
日程 | 時間 | 担当者 |
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10月12日(土) | 10:30~ 15:15~ |
小島 道裕 (当館歴史研究系) |
10月14日(月・祝) | 10:30~ 13:30~ |
小島 道裕 (当館歴史研究系) |
10月26日(土) | 10:30~ | 井原 今朝男 (当館歴史研究系) |
10月31日(木) | 13:00~ | 小島 道裕 (当館歴史研究系) |
11月2日(土) | 10:30~ 13:30~ |
小島 道裕 (当館歴史研究系) |
11月7日(木) | 13:00~ | 小島 道裕 (当館歴史研究系) |
11月16日(土) | 13:30~ | 井原 今朝男 (当館歴史研究系) |
11月23日(土) | 13:30~ | 小倉 慈司 (当館歴史研究系) |
11月30日(土) | 10:30~ 13:30~ |
小島 道裕 (当館歴史研究系) |
※時間は1時間程度を予定しています
※開催日時、担当者は変更する場合があります。ご了承ください。
スマートフォンによる音声ガイドのご案内
展示場では、お手持ちのスマートフォンで、wifiによる音声ガイドを聞くことができます。展示代表の小島道裕が、展示の36カ所について解説を行います。展示室でお聞きになる際は、イヤホンまたはヘッドホンをご使用下さい。
音声ガイドをお手元でも体験できます
展示場と同じ音声ガイドを、お手元でもご体験いただけます。スマートフォンだけでなく、パソコンでもご利用できます。図録をお持ちであれば、見ながら聞いてみていただくと、ギャラリートークの雰囲気が味わえます。(解説対象の資料番号は、下記のテキスト版をご参照下さい。)
携帯音楽プレーヤーを音声ガイドとして使うことができます
携帯音楽プレーヤーをお持ちの方は、音声データをダウンロードできます。パソコン等でダウンロードして解凍し、音声ファイル(MP3形式)を音楽プレーヤーに転送すれば、展示場で音楽プレーヤーを音声ガイドとしてご利用いただくことができます。(ファイル名がそのまま音声ガイドの番号になっています。)
- 音声データ (mp3フォーマット、37個のファイルをzip形式で圧縮、約26メガバイト)
音声ガイドのテキスト版もご用意しました
音声ガイドのテキストを下記に掲載いたしました。資料番号によって、図録の解説としてもご利用になれます。
図録のご案内
「中世の古文書-機能と形-」 |
- 図録及び販売物についてのお問い合わせ
- 財団法人 歴史民俗博物館振興会
電話:043-486-8011(9時30分から17時00分まで) / E-mail:shop@rekishin.or.jp
※内容は変更する場合があります。ご了承ください。