このページの目次
開催要項はじめに展示構成関連イベント展示の様子

開催要項

平成16年度企画展「東アジア中世海道−海商・港・沈没船−」
開催期間2004年10月26日(火)~11月7日(日)
開催期間 2005年3月23日(水)~5月22日(日)国立歴史民俗博物館
2005年7月6日(水)~9月5日(月)大阪歴史博物館 
2005年9月17日(土)~11月27日(日)山口県立萩美術館・浦上記念館
開館時間 午前9時30分~午後5時(入館は午後4時30分まで)
入館料(当日)

一般:1,200円(900円) / 高校・大学生:800円(400円)  /
小・中学生 400円(200円)/ ※( )内は20名以上の団体料金

前売り料金
(チケットぴあ)
一般:1,000円 / 高校・大学生:600円 / 小・中学生:250円
休館日 3/28、4/4・11・18・25、5/9・16
主催 国立歴史民俗博物館、毎日新聞社
共催 大阪歴史博物館、山口県立萩美術館・浦上記念館
後援 文化庁、駐日韓国大使館 韓国文化院
協力 JAL、社団法人東京倶楽部助成事業

はじめに

世界の海は、それを共有する多くの国と地域を結びつけ、人、もの、文化、技術などの相互交流の場として、歴史の揺籃(ようらん)となり、原動力となってきました。この展示では、特に12世紀から16世紀の東アジアの海を舞台にして、中国、高麗・朝鮮、日本、琉球などの国や地域、人々が相互に影響を与えながら育んだ交流の歴史と文化の煌めきを、考古、文献、美術、民俗資料など、多様な展示品を通して描こうと企画しました。

東アジアでは、積極的な対外政策をとる宋が出現すると、新たな交流の時代が到来し、海で結ばれた多くの地域や国々の激動を促しました。そして、それは単に国家間の政治や経済の問題にとどまらず、一般の人々の日常生活にまで影響を及ぼすものであったことも前代とは異なる特徴です。例えば、中国産の陶磁器が日本列島のごく普通の食器となり、中国の銭が市場での日々の買い物に使われるといった具合です。

またそこでは中華の建前のもとで国と国とが交流しただけではなく、国境を意識しないで海を共通の世界として活躍した海民・海商たちのエネルギッシュな姿がありました。それは東アジアの大きな枠組みとして、16世紀のヨーロッパとの出会いにより地球規模の交易・交流へと変化するまで続きました。アジアが最も煌めいた時代の一つといえます。しかし、中世から近世への変化のなかで、それらは次第に国の枠組みへと閉じこめられていくことにもなりました。

今、世界がグローバリゼーションの波に覆われようとしているとき、国境を超えて国の集合とは異なる地縁的なもうひとつの世界を実現した中世の東アジア海域を見つめ直し、アジアを考える一視点としたいと考えています。

南蛮屏風(部分/出光美術館蔵)

展示のテーマ構成

展示は、大きく4つのテーマにより構成しました。

「世界の中の東アジア」

第1のテーマは、展示の舞台への導入を兼ねた「世界の中の東アジア」です。ここでは、古地図などから当時の人々の世界観や自己意識を探ります。東アジアの国々や地域が、自らの世界をどう意識したか、一方、外の世界からはどうみられたのか、地図には直裁的に表現されます。中世東アジアの海へとみなさんを誘導します。

引揚陶磁器群
(韓国国立光州博物館蔵)

青磁象嵌菊花文合子
(飛雁島引揚資料/韓国国立海洋遺物展示館蔵)

青磁鉄絵牡丹文長鼓
(莞島沈没船資料/韓国国立海洋遺物展示館蔵)

オルテリウス アジア図
(国立歴史民俗博物館蔵)

将棋の駒・「至治三年」銘荷札
(韓国国立海洋遺物展示館蔵)

 

「湊と船-往来する人ともの」

第2テーマは、「湊と船-往来する人ともの」です。貿易船関連の目玉は、日元貿易のタイムカプセルともいえる韓国の新安沈没船資料です。中国から博多を目指したこの沈没船が発見されたとき、いわゆる茶の湯や花、香などの中国産高級陶磁がたくさん引き揚げられ話題になりましたが、加えて保存された船体そのもの、多国籍な船員や商人の問題、国際的な積み荷の内容など、中世の貿易船の実像を語る最高の資料なのです。今回は、さらに高麗青磁の窯場(かまば)からの運搬船など、韓国の最新の沈没船資料が集まります。

大中国人街があったという鎌倉時代の博多、ヨーロッパ人が日本と並立する国と間違えたという豊後府内町、今、そんな国際港湾都市の遺跡が発掘されています。海と陸、人やモノ、情報が動く結節点としての港湾都市には、経済特区ともいえる特別な景観と機能がありました。そんな「海道」に生きた町や人々の様子を国際港の代表ともいえる博多と堺、豊後府内町から、また、中世にこそ海に浮かぶ貿易立国として輝いた琉球と対馬の姿、その最新研究成果をお届けします。

南蛮屏風
(部分/出光美術館蔵)

華南三彩鳥形水注・水滴
(国立歴史民俗博物館蔵)

墨書陶磁器
(博多出土/福岡市埋蔵文化財センター蔵)

「世界を動かす貿易と文化」

第3のテーマは、「世界を動かす貿易と文化」です。アジアの内外に、人・モノ・情報が行き来した交易・交流の求心力を、経済的側面と文化的側面からみるコーナーです。

東西貿易の原動力が東南アジア、南アジアの香料だったことは有名ですが、もうひとつが洋の東西を問わず貿易の決済に必要な銀でした。ヨーロッパの地図にまで記入されるほど飛躍的な生産をあげていた石見(いわみ)銀山の銀こそが、日本に向かって多くの貿易船を引き寄せる大きなエネルギーとなった状況を実感してもらいます。また、中国銭が共通して流通する東アジア、「大銭」が暗示する交易の場の特性など、銭を通じて見えるアジアの地域像を描きます。

もうひとつのエネルギーが、鎌倉時代より日本列島にあふれた舶来品、「唐物荘厳(からものしょうごん)」に象徴される海外文物への強い憧れでした。ただ人々の美意識と価値観を反映した品々をみると、中国や高麗・朝鮮とは異なる視点で選択され、さらに単なる文化的価値観にとどまらずそれが社会的な権威付けの必需品でもあったことが注目されます。絵巻物や文献に記された様子と鎌倉の遺跡や戦国大名朝倉館の出土品などを比較しながら唐物がもつ機能や意味を考えてみました。

また、この時期に形成された価値観は、時代を超えて伝えられ、現在の我々の意識にも脈々と生きているものが少なくありません。憧れの唐物として大切に伝世された漆器、陶磁器など、優秀な美術品の一端を鑑賞するコーナーを用意しました。

福富草紙絵巻
(出光美術館蔵)

青磁象嵌菊花文四耳壷
(山口県立萩美術館・浦上記念館蔵)

堆黒八仙人図食籠
(出光美術館蔵)

澱青釉紅斑文杯
(山口県立萩美術館・浦上記念館蔵)

青磁瓶
(山口県立萩美術館・浦上記念館蔵)

 

「中華の波及と変容」

終章は「中華の波及と変容」です。プロムナードの部屋では、東アジア各地の獅子舞が乱舞します。中国の王権の象徴である龍と獅子が、アジア各地に伝わり独自の変容をしました。現在の民俗例をみることで、中世から現在へと帰り、エピローグとしました。なお、歴博会場では、会期中に横浜中華学院校友会のメンバーによる獅子舞の実演が催されます。ぜひお楽しみに。

(展示プロジェクト代表:小野正敏)

関連イベント

中国獅子舞公演

展示開催中に、横浜中華学院校友会による中国獅子舞の公演がおこなわれます。

日時 平成17年3月27日(日)、4月10日(日)、4月29日(金・祝)
11:00~/14:00~ (各日2回公演) 雨天決行
会場 国立歴史民俗博物館アプローチデッキ

歴博講演会

テーマ 「東アジア中世海道-海を渡った人とモノ」
講師 小野正敏
日程 4月9日(土)13:30~

ギャラリートーク

開催日 時間 担当者
3月26日(土) 14:00~ 福原敏男 (日本女子大学教授)
小野正敏 (本館考古研究系助教授)
4月2日(土) 14:00~ 上野祥史 (本館考古研究系助手)
村木二郎 (本館考古研究系助手)
4月9日(土) 14:00~ 仁藤敦史 (本館歴史研究系助教授)
西谷大 (本館考古研究系助教授)
4月16日(土) 14:00~ 池田榮史 (琉球大学教授)
金沢陽 (出光美術館学芸員)
4月23日(土) 14:00~ 青山宏夫 (本館歴史研究系助教授)
小野正敏 (本館考古研究系助教授)
4月30日(土) 14:00~ 齋藤努 (本館情報資料研究系助教授)
上野祥史 (本館考古研究系助手)
5月7日(土) 14:00~ 篠原徹 (本館民俗研究系教授)
村木二郎 (本館考古研究系助手)
5月14日(土) 14:00~ 中島圭一 (慶應義塾大学助教授)
金沢陽 (出光美術館学芸員)
5月21日(土) 14:00~ 小野正敏 (本館考古研究系助教授)
関周一 (つくば国際大学非常勤講師)

展示の様子

展示風景

沈没船のものと同じ大きさに復原されたイカリ

会場入口

ギャラリー・トークは毎土曜日14:00から

絵図を自由に拡大して見ることができます

アジアの様々な獅子

   

中国獅子舞公演風景(2005年3月27日)