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開催要項趣旨展示構成関連の催し

開催要項

古代日本 文字のある風景-金印から正倉院文書まで-
開催期間2002年3月19日(火)~6月9日(日)
開催期間 2002年3月19日(火)~6月9日(日)
会場 国立歴史民俗博物館 企画展示室
入館料

一般 830円(560円)/高校・大学生 450円(250円)
小・中学生 250円(130円)

※( )内は20名以上の団体料金

主催 国立歴史民俗博物館・朝日新聞社
後援 文化庁

趣旨

  1. 文字をもたなかった日本では、どのようにして中国からの文字を受け入れ、古代朝鮮の多大な影響を受けながら日本語表記を可能としていったのか、その過程を 明らかにします。その努力は8世紀段階に入り、『古事記』『日本書紀』『万葉集』そして“正倉院文書世界”として結実しました。正倉院文書は、日本古代史 の研究上に欠くことのできない根本史料ですが、特別の機会を除いては一般には公開されていません。1200年前の膨大な文書が良好な状態で保存されている ことは世界的にも例がありません。このため本館では、正倉院文書約800巻の精巧な複製を重点事業の一つとして取り上げ、すでに250巻を製作していま す。これらの膨大な複製品を本展示で一挙公開します。
  2. 古代日本においては文字そのものが、政治の具あるいは呪力を持ったものとして、それ以降の時代には見られないほどの大きな社会的役割を果たしたと考えられ ます。そのような、文字の生まれた中国とは異なる日本古代の特異な文字世界-文字の生態-を、“文字と人と場”という視点から具体的な資料で描いてみたい と思います。
  3. 日本の古代社会は、つねに広範な“無文字的世界”を内包し、独自の文字文化を形成していったという見通しのもとで本展示を展開したいと思います。
  4. 近年の膨大な出土文字資料の発見によって、特に韓国と日本の共通する古代の文字文化の実態が極めて明確になってきました。本展示開催年の平成14年 (2002年)は、日本と韓国との緊密な関係が大きく前進を遂げる記念すべき年にあたります。幸い、韓国の諸機関の全面的協力により、韓国の主要な古代文 字資料を借用できることとなりました。国内では初めての韓国出土の古代文字資料の一挙公開であり、日本の資料との比較も行いたいと思います。

中国で生まれた文字(漢字)は東アジア各地へ広がり、国際的な文字として長い間君臨しました。しかし、現在ベトナムや韓国・北朝鮮では民族文字を中 心に文章を書くようになっています。中国を除いて、現在まで漢字文化を維持しているのは、早くから漢字かなまじり文で文章を書き始めた日本だけです。しか し、日本の漢字文化の将来も決して安泰とは言えません。21世紀の文字文化のあり方を考える上でも、古代社会における文字とは何かを真正面から問い直す必 要があります。

そこで、本企画展示では、本館所蔵の約100巻の正倉院文書複製品を中心として、全国各地の漆紙文書、木簡、墨書土器などの出土資料や金石文、さらに文房 具などの文字の周辺資料、そして中国・韓国の古代文字資料をも組み合わせて古代日本の文字世界を復元し、それらの文字を通じて古代社会の実像を描きたいと 思います。

展示構成

1. 日本列島に文字が来たころ

  1. 中国から来た文字資料(金印「漢委奴国王」複製品、島根県神原神社古墳出土景初三年銘鏡複製品ほか)
  2. 音・絵画などの表現(銅鐸 復元品ほか)
  3. 2~4世紀の倭国で書かれた文書(三重県大城遺跡出土土器「奉」「幸」ほか)

2. 古代朝鮮の文字文化(有銘単龍文環頭太刀、城山山城木簡、雁鴨池木簡、迎日冷水里碑複製品ほか)

3. 内政に文字を使い始める(千葉県稲荷台古墳出土「王賜」銘鉄剣ほか)

4. 文字文化の深まり

  1. 書・付札木簡(滋賀県湯ノ部遺跡出土丙子年「牒」木簡複製品ほか)
  2. 古代日本語と木簡(滋賀県森ノ内遺跡出土日本語文木簡複製品、滋賀県北大津遺跡出土字書木簡複製品ほか)
  3. 生産と文字・記号 土器・瓦(千葉県五斗蒔瓦窯跡出土文字瓦ほか)
  4. 則天文字(島根県出雲国庁出土墨書土器、群馬県二之宮宮下東遺跡出土墨書土器ほか)

5. 文書による行政

  1. 役人の世界(茨城県鹿の子C遺跡漆紙文書、兵庫県山垣遺跡出土11号封緘木簡複製品ほか)
  2. 村の世界(石川県加茂遺跡 示札、各地出土の稲の種子札ほか)

6. 呪術と文字(長岡京出土物忌札、千葉県西原遺跡出土呪符複製品ほか)

7. 土器に墨書する(茨城県神野向遺跡出土墨書土器、千葉県花前遺跡出土墨書土器ほか)

8. 南と北の文字(北海道サクシュコトニ川遺跡出土刻書土器、鹿児島県広田遺跡出土貝符ほか)

9. 正倉院文書の世界(正倉院古文書複製品ほか)

主な展示資料

紀伊国那賀郡司解 山辺郡印(重要文化財)
御野国加毛郡半布里戸籍(正倉院文書・続修3・複製) 天平勝宝八歳暦(正倉院文書・続修14・複製)
平城宮木簡(「関々司前解」・複製) 平城宮木簡(告知札・複製)
落書「大大論」(正倉院文書・続修別集48・複製) 秦家主請假解(正倉院文書・続修第20・複製)
船王後墓誌(オモテ・複製) 山背国計帳(正倉院文書・正集12・複製)

期間中の展示替え一覧

体験コーナー

  1. 紙を顕微鏡で見る
  2. 赤外線カメラを使った文字解読
  3. 算木を使った計算
  4. 千字文の手習い
  5. 木簡の形から用途を推測しよう
  6. 漢字の音(オン)を使った物品名を当ててみよう

関連の催し

歴博フォーラム

第38回 歴博フォーラム 「古代日本 文字のある風景」

日程 2002年4月14日(日) 10時00分〜17時00分
会場 東京銀座 ヤマハホール
主催 国立歴史民俗博物館/朝日新聞社
趣旨

歴博創設20周年記念の企画展「古代日本 文字のある風景−金印から正倉院文書まで−」(会期:平成14年3月19日〜6月9日)に関連して展示の趣旨をフォーラムの中でより深めてみたい。
文字をもたなかった日本では、どのようにして中国から文字を受け入れ古代朝鮮の多大な影響を受けながら日本語表記を可能にしていったのか、その過程をまず明らかにする。その努力は8世紀段階に入り、『古事記』『日本書紀』『万葉集』そして正倉院文書世界として結実した。しかしながら、日本の古代社会は、つねに広範な無文字的社会との対応のなかで権威の象徴あるいは呪力をもったものとして、古代中国・朝鮮、さらには日本の中世以降とは違う特異な文字文化を併せもっていたのではなかったか、という点を討論のなかで浮き彫りにしてみたい。
今回のフォーラムは漢字学・国語学・古代朝鮮史および日本古代史そして文化人類学という幅広い学問分野の研究者に参加していただき、企画展とあわせて古代日本の文字文化の実態をみきわめたい。

開催内容
時間 内容
10:00〜10:05 開会挨拶 宮地正人 館長
10:05〜10:10 趣旨説明 平川南
10:10〜10:50 報告1 「漢字の歴史」 阿辻哲次(京都大学)
10:50〜11:30 報告2 「古代朝鮮の文字文化」李成市(早稲田大学)
11:30〜12:10 報告3 「古代日本語と古代朝鮮語」犬飼隆(愛知県立大学)
12:10〜13:10 休憩
13:10〜13:50 報告4 「古代日本の文字文化」東野治之(奈良大学)
13:50〜14:30 報告5 「無文字社会の歴史」川田順造(広島市立大学)
14:30〜14:45 休憩
14:45〜16:55 フォーラム 「古代日本 文字のある風景」 司会:平川南
パネリスト:阿辻哲次・李成市・犬飼隆・東野治之・川田順造
16:55〜17:00 閉会挨拶
お申し込み方法

フォーラム聴講希望者は、往復葉書に「第38回 歴博フォーラム参加希望」と明記のうえ、住所・氏名(返信用にも記入)・年齢・電話番号を記して下記までお申し込み下さい。定員500名(定員を超えた場合は抽選)。参加は無料です。

お申し込み先

〒285-8502 千葉県佐倉市城内町117 国立歴史民俗博物館 展示課展示広報係
Tel: 043-486-0123(代) Fax: 043-486-4211

締め切り

2002年3月29日(金)消印有効

歴博講演会

「古代日本の文字世界」

日程 2002年3月9日(土)
講師 平川南

「正倉院文書の世界」

日程 2002年4月13日(土)
講師 杉本一樹(宮内庁正倉院事務所)

「柿本人麻呂の文字世界」

日程 2002年3月9日(土)
講師 神野志隆光(東京大学)

歴博講演会ページ