企画展示
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江戸モード大図鑑 ―小袖文様にみる美の系譜―
開催要項
| 開催期間 | 平成11年10月5日(火)~11月28日(日) |
|---|---|
| 展示会場 | 国立歴史民俗博物館 企画展示1・2・3室 |
| 料金 | 一般 830円(560円) 高校・大学生 450円(250円) 小・中学生 250円(130円) ( )は20名以上の団体料金 |
| 開館時間 | 9時30分から16時30分まで(入館は16時まで) |
| 休館日 | 10月12日,10月18日,10月25日 11月 1日, 11月 8日, 11月15日,11月22日 |
| 主催 | 国立歴史民俗博物館・NHK千葉放送局 |
| 協力 | NHKプロモーション |
展示の趣旨
小袖は、キモノとか和服と呼ばれている日本伝統の衣服の古称。束帯や直垂などの大袖形式の衣服に対して、実用的な袖の小さい衣服というのが本来の意味でした。しかし、中世のなかば頃から小袖は表着としての品格と形式を確立し、江戸時代には女物を中心にさまざまな文様に妍姿を競い合う独特の装飾様式を形成していきました。しかも、興味深いのは、このような華麗な小袖がある程度の経済力をもった不特定多数のひとびとに享受され、さらには出版や芝居などを通じて庶民までも含めた裾野の広いモードが形作られていったことです。
今回の企画展示では、小袖の文様に視点を据え、江戸時代のモードの展開と特質を遺品や絵画資料などによって通覧していきます。なお、展示される小袖は、すべて本館蔵野村コレクションとそれに関わる作品で、総計約二三〇領を数えます。一九九四年開催の『近世きもの万華鏡 · 小袖屏風展 · 』で小袖屏風全百隻を公開したのに続いて、今回の企画展示では同コレクションの小袖類のほとんどすべての作品をご覧いただきたいと考えています。
展示は、「縫と染の系譜」「隆盛する友禅染」「吉祥の図様」「詩歌と意匠」「物語と謡曲の世界」「雅の意匠と公家の装い」の六章より構成されています。以下、その内容を簡単にご説明しましょう。
第一章 縫と染の系譜
一七世紀初頭から一八世紀初頭にかけての約一世紀は、絞り染と刺繍を中心とした“古典的”な染織技法による小袖意匠がもっともダイナミックに展開した時代でした。桃山時代までの左右対称を基本とした装飾様式は、慶長小袖の複雑な意匠構成を経て、寛文小袖の直截明快なデザインへと至ります。寛文小袖は、左右非対称の構成、自己主張の強い文様表現を特徴としたもので、小袖の全面を一枚の画布のように捉える構成は、従前の衣服の装飾様式とは一線を画するものでした。ここでは、寛文小袖を中心に次代の元禄小袖へと連なるモードを、風俗画などの絵画資料等を交えて展示します。
第二章 隆盛する友禅染
ここでは江戸時代の友禅染の精巧な技術力と卓抜したデザイン感覚に着目します。江戸時代のモードは、一七世紀の終わり頃になって友禅染が登場したことにより一変しました。友禅染は、細い糸目糊と多彩な色挿しによって、絵画にも比肩される自由な図様をあらわすことができる染色技法です。それまで小袖の装飾の中心的役割を果たしてきた刺繍と絞り染は、表現上の制約が少なくありませんでしたが、友禅染はその限界を払拭し、複雑な表情を持つ風景模様なども自在に表現できるようになったのです。
第三章 吉祥の図様
社会と身体の境界である衣服には、一般に吉祥の意味をもった文様が好んで用いられています。小袖の場合も、長寿や延命を祝うもの、幸福を祈るもの、富貴を願うものなど、多種多彩な吉祥の図様に人気がありました。本章では、婚礼の衣装から平常の衣服まで、吉祥のモチーフとその組み合わせを取り上げ、その意味や成立の背景を探っていきます。
第四章 詩歌と意匠
文様の世界が拡大していくと、視覚的に心地よいだけでは不十分で、背景にある付加的な価値に関心が寄せられるようなっていきます。そこで注目を集めるようになったのが、文学的な主題にもとづく意匠です。蒔絵などではもっと以前から一般的になっていたのですが、小袖では一七世紀のなかば以降に大きな流行がやってきました。なかでも、本章に展示する、詩的な情趣を求め和歌や漢詩に材を取ったグループは、たいへん好まれ、一流をなしました。
第五章 物語と謡曲の世界
ここでは前章と同様、文学的な主題にもとづく意匠のなかから、『伊勢物語』や『源氏物語』などの物語、あるいは武家の式楽として発達した能・謡曲に関連するグループを取り上げます。なかでも謡曲は、江戸前期の流行を考えるうえで無視できない存在です。町人向けの小袖雛形本謡曲に取材した文様が多数含まれており、当時のモード全般に大きな影響を与えていたことがうかがわれます。
第6章 雅の意匠と公家の装い
小袖の文様には、桧扇や御簾など王朝文化を彷彿するモチーフが頻繁に登場します。しかし、近世の公家の女性たちが実際に着用していた小袖にはかならずしも王朝文化の系統を引く装飾が施されていたわけではありませんでした。本章では、公家的な趣の意匠と公家の女性が実際に用いたと思われる小袖に注目し、両者を対照的に展示します。 以上が展示の概要ですが、このほかにもコンピュータの仮想空間で展示されている小袖を試着してもらうヴァーチャル・キモノ試着システムや、現代とはずいぶん違う近世初期風に仕立てのキモノを実際に試着できるコーナーなどを設置しています。また、ボタンを押すと解説の聞こえる音声ガイドシステムもできました。どうぞご利用ください。
(情報資料研究部 丸山伸彦)
主要展示予定資料
小袖類約230領(野村コレクション),輪舞遊楽図,邸内遊楽図,四条河原夕涼図,色絵人形ほか 以上本館蔵.
茶練緯地紫陽花模様縫箔小袖(鐘紡株式会社),紅縮緬地熨斗模様友禅染振袖(友禅史会)ほか
ヴァーチャル・キモノ試着システム

試着コーナー

[試着コーナー]江戸小袖を試着できます。
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