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くらしの植物苑 特別企画 『伝統の朝顔』

三代歌川豊国
今様三十二相・よねんなさ相

大判錦絵 山口屋藤兵衛 安政6(1859)年6月改

仏が備えるすぐれた身体的特徴である三十二相を、美人の諸相を描く名数として使うことは浮世絵ではよく見られる。三代豊国の「今様三十二相」は安政6年から文久元年にかけて制作されたシリーズで、豊国の描く美人大首絵に、幕末のデザイナーとでもいうべき梅素亭玄魚がコマ絵を添えている。本体の美人画とコマ絵とは密接な関連を持つものと思われるが、現在のわたしたちには十分な解釈ができないものも少なくない。本図も、摘み取った朝顔の花を重ねることに「余念無さそう」な美人を描いているが、コマ絵の朝顔の蔓が巻き付いた垣に掛けられた「喜代賀幾」との関係はよくわからない。摘み取った朝顔の花を重ねることは、当時よく行われたようで、その状態で水盤や茶碗に活けた様子が、北斎一派の肉筆画や摺物に見いだすことができるだけでなく、明治になってからも、しばしばこうした様子が描かれている。