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開催概要

開催概要

伝統の古典菊
開催期間2015年11月3日(火祝)~2015年11月29日(日)

菊は、日本を代表する園芸植物のひとつで、日本在来の植物ではありませんが、平安時代の宮廷ですでに菊花の宴が流行していたことから、律令期に他の文物とともに中国からもたらされたと考えられています。

平安・鎌倉時代からは日本独自の美意識により、支配者層の間で独特の花が作り出されました。筆先のような花弁をもつ「嵯峨菊」は京都の大覚寺で門外不出とされ、花弁の垂れ下がった「伊勢菊」は伊勢の国司や伊勢神宮との関わりで栽培されました。そして、菊は支配者層の中で宴に、美術工芸品に、不老不死のシンボルとして特権的な地位を築いていったのです。

それが、近世中頃以降になると大衆化し、変化に富む園芸種の菊花壇や、菊細工の見世物が流行したと言われています。それらの流行を支えたのが、花弁のまばらな「肥後菊」と花弁が咲き始めてから変化していく「江戸菊」です。これらに花の中心が盛り上がって咲く「丁子菊」を加えた伝統的な中輪種は「古典菊」と呼ばれています。

くらしの植物苑では、このような「古典菊」を2000年から展示してきました。今回は、「菊を広めた人々」をテーマとして、もともと武家の年中行事に用いられていた菊を、文化・文政期に巣鴨の植木屋が大衆向けに広めていったこと、そして栽培書が写本によって地域的に広がっていき、菊の育成方法が定型化していった様子をパネルにて解説します。

開催期間 2015年11月3日(火祝)~2015年11月29日(日)
会場 国立歴史民俗博物館 くらしの植物苑
料金 個人(高校生以上) 100円 
団体(20名以上) 50円 
※小中学生は入苑無料です。 
※毎週土曜日は高校生は入苑無料です。
開苑時間 9時30分~16時30分 (入苑は16時まで)
休苑日 11月9日(月)、16日(月)、24日(火)
主催 国立歴史民俗博物館

概要

くらしの植物苑で収集し、栽培・育種した古典菊(嵯峨菊17品種,伊勢菊12品種〈松阪菊3品種を含む〉、肥後菊32品種、江戸菊35品種、丁子菊10品種)と、江戸菊や肥後菊と同じく近世中頃からつくられている奥州菊10品種、また、当苑で種から育てた実生の新花約20品種を7号もしくは9号鉢で育成し、苑内の東屋周辺、ハウス、よしず展示場に展示します。

また、「菊を広めた人々」をテーマとして、文化・文政期に巣鴨の植木屋が江戸菊の作り方を広め、かつ遠方に輸送する手段を確立したことで、菊を大衆化させたことと、栽培書が写本によって各地に普及し、菊の花受けや結び方などが定型化されていく様子をパネルで紹介します。

●出展品種 計136品種(歴博オリジナル約20品種含む)
●出展鉢数 約300鉢

嵯峨菊

1)嵯峨の暁

2)天の笑(わらい)
  歴博オリジナル

京都嵯峨地方で嵯峨天皇のころから栽培されていたとの説もありますが、伊勢菊と同様江戸末期頃に品種が成立したと考えられます。2m近くまで伸ばす仕立て方は嵯峨菊独特で、皇居の殿上の回廊から観賞できるようにしたといわれています。明治時代になるまでは大覚寺のみで栽培され、門外不出でした。糸のように細い多数の舌状花の花弁が、咲き始めは横に向いて開き、花芯を露出し、花弁がほぼ伸びきると真直ぐに立ち上がって刷毛状に咲くのが特徴です。

伊勢菊(松阪菊含む)

3)雪山

4)松阪菊 みだれ髪
  歴博オリジナル

三重県松阪地方で、天保、嘉永(1830~1855)頃から栽培されている中輪もしくは大輪の花です。嵯峨菊を改良して作り出したと考えられています。花弁は細長く、縮れて咲き始め、伸びるにしたがって花弁が垂れ下がるのが特徴で、珍奇な形の花をつける菊として貴重です。

肥後菊

5)御所車

6)天空の花火
  歴博オリジナル

宝暦年間(1751~1763)、肥後の名藩主といわれた細川重賢が、文化政策の一つとして栽培を奨励したと伝えられ、240年余の歴史があります。文政 2(1819)に肥後藩主別当職の秀島七右衛門が「養菊指南車」という著書をあらわしてから、独特の栽培法が確立しました。現在の栽培法、花壇作りの方法は当時とほとんど変わることなく伝承され、独特の権威を誇っています。

江戸菊

7)平成絵巻

8)下谷花川戸

文化、文政期(1804~1830)に江戸市中において大流行しました。花の咲き始めは周辺の舌状花の花弁が垂れ下がり。中心部の筒状花が見えます。さらに咲き進むと中心部に近い舌状花の花弁から順次立ち上がり、いろいろに折れ曲がって筒状花を包み込むように抱えます。江戸菊は咲いて10日、開いて10日、狂って10日と言われ、長く楽しめる花です。

丁子菊

9)希望丸

江戸時代最初の流行期、元禄、(1688~1736)頃に「丁子咲」として最初に現れた系統です。花芯部の筒状花が丁子弁になって盛り上がって咲くのが特徴です。

奥州菊

10)瑞雲殿

青森県八戸地方で品種改良された菊で、両手で花をキュッと掴んだように盛り上がり、太い花弁が垂れ下がるのが特徴です。

関連の催し

有償頒布のご案内

日時 10月24日(土)・11月3日(火祝)・11月28日(土) 9:30~13:30
会場 くらしの植物苑
価格 1鉢 820円~
* お一人様あたりの苗の数を制限させていただく場合があります。 
* 数量に限りがあります。品切れの節はご容赦ください。
* 別途、入苑料が必要となります。

くらしの植物苑観察会

※くらしの植物苑にて開催、事前申込み不要、要入苑料

第200回「参勤交代と菊作りの広がり-八戸藩を事例に-」

講師 岩淵 令治(学習院女子大学)
日時 11月28日(土)13:30~15:30

図録のご案内

「伝統の古典菊」価格:1,296円(税込)/ 送料350円

くらしの植物苑関係の刊行物のお問い合わせ
財団法人 歴史民俗博物館振興会
電話:043-486-8011(9時30分から17時00分まで)、Fax:043-486-8008
E-mail:shop@rekishin.or.jp

他の企画展示等の図録

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