開催概要
人類は古来より現在に至るまで、衣食住生活のほとんどのシーンにおいて、用途に応じたさまざまな植物を加工し、利用してきました。今年度は轆轤(ロクロ)で加工した木器とその原料である樹木をとりあげ、近世から近代にかけて、原木を求めて移動生活を行った木地屋による挽き物原料としてのブナとブナ林の変遷について展示いたします。もともと椀や盆といった挽き物の材料には一般的にトチノキ、ブナ、ケヤキといった広葉樹が使われ、その多くは天然林から伐採されていました。なかでも奥山を中心に生育するブナはわが国の森林の広葉樹材の中では現存量が最も多い樹種です。漆器などの需要増加に伴ってブナの利用が増大し、森林資源が枯渇してくると、木地屋は新しい森林を探して移動しますが、ある一定の地域内で再生した林に100年程度の単位で回帰的な移動を繰り返した例も知られています。また、木地屋は移動を続けるばかりでなく、ブナ林の伐採地を利用して定着・帰農したり、スギやヒノキなどの林業に従事するなど様々でした。
本展示の統一的なテーマは、ブナ林の利用とその変遷ですが、轆轤製品(挽物)とそれに使用される樹種について、その特性に関する理解を深めるため、各地での実例をパネルを用いて紹介するほか、実物の材見本や製品を展示します。
会場 | 国立歴史民俗博物館 くらしの植物苑 |
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料金 | 個人(高校生以上) 100円 / 団体(20名以上) 50円 ※小中学生は入苑無料です。 ※毎週土曜日は高校生は入苑無料です。 |
開苑時間 | 9時30分~16時30分 (入苑は16時まで) |
休苑日 | 2月16日(月)・23日(月)・3月2日(月)・9日(月)・16日(月)・23日(月) |
主催 | 国立歴史民俗博物館 |
展示構成
加工用轆轤1点、球状に加工した各種材見本10種、板見本5点、轆轤製品(大山独楽、江戸独楽など)5点を解説パネルとともにくらしの植物苑東屋に展示いたします。また、解説シートを作製する予定です。
木の文化~ブナの林と木地屋の世界 展示風景
くらしの植物苑ではさまざまな展示を行ってきましたが、今回は木地屋をテーマに展示を行いました。2月10日に行われた展示解説会では、西谷展示担当教員の司会のもと、平川館長の挨拶、中川重年本館客員教授による展示の紹介がありました。
森林資源としてのブナ材の利用や変遷、轆轤製品の紹介、ブナを素材にしたおもちゃ、現代のブナ利用など、パネルや実物を展示しています。様々な樹木の性質を見ていただくために球形に加工した木材を実際に手でさわっていただけるコーナーも設けました。また、3mを超すブナ板はブナの加工の難しさや性質をよく見せてくれます。
なお、中川客員教授による観察会が、2月28日(土)(第119回「ブナの林と木地屋の世界』)と、3月28日(土)(第120回『くらしの植物苑と木の利用』)に、13:30からくらしの植物苑あずまやで行われます。
関連の催し
くらしの植物苑観察会
第119回「ブナの林と木地屋の世界」
日時 | 2月28日(土) 13時30分~ |
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会場 | くらしの植物苑 東屋 |
講師 | 中川 重年(当館客員教授) |
備考 | 事前申し込み不要、入苑料が必要 |
第120回「くらしの植物苑と木の利用」
日時 | 3月28日(土) 13時30分~ |
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会場 | くらしの植物苑 東屋 |
講師 | 中川 重年(当館客員教授) |
備考 | 事前申し込み不要、入苑料が必要 |
※内容は変更する場合があります。ご了承ください。