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2006年2月22日2006年2月15日2006年2月8日2006年2月1日

2006年2月22日

スイセン(ユリ科ヒガンバナ属)
お正月や早春の花として知られていますが、今年は寒く1か月以上遅れて花が咲き始めました。姿と香りはたくさんの人に好まれています。日本各地の海岸付近に野生化して群落をつくっていますが、原産は地中海地方で、古い時代に中国から日本に渡ってきました。スイセンにはたくさんの品種があり、またスイセンの総称と区別するため、とくにニホンズイセンともよばれています。
ナズナ(アブラナ科ナズナ属)
冬場、地面に張りついていた植物たちが徐々に立ち上がり花を咲かせ始めました。写真はナズナ。花よりも、ハート型の果実がついたペンペングサとよんでいる姿のほうがピンと来るかもしれません。春の七草に登場するナズナは、日本全土の荒地や畑地などに生える雑草とよばれている植物のひとつですが、かつては救荒作物ともされ、重要な食料とされてきました。薬用にも用いられる有用な植物です。
フキ(キク科フキ属)
春を告げる植物のひとつフキノトウが顔をのぞかせました。フキノトウはフキの花をさし、食用にするのはこの時期のつぼみで、特有の香りと苦味をもち、香辛野菜として古くから利用されてきました。フキは葉柄を野菜として用いるためにいくつかの品種も栽培もされているため、野生のものを区別してノブキと呼ぶこともあります。本州北部以北では、アキタブキという大型になる種類がみられます。
ツバキ[有楽](ツバキ科ツバキ属)
一般にワビスケ(侘助)とよばれている品種のひとつです。花色は白から濃桃色まであり、とくに白花は茶花に多く使われます。花びらにたくさんの傷みがみられますが、これはメジロなど鳥の爪痕です。ツバキが蜜を吸いにくる鳥によって受粉される鳥媒花であることがわかります。しかし、本品種群は雄しべが退化しているので、果実はほとんどつきません。

2006年2月15日

ソシンロウバイ(ロウバイ科ロウバイ属)
ロウバイは、中国原産で江戸時代のはじめに日本へ渡来しました。漢字で「蝋梅」と書き、陰暦の12月を蝋月(ろうげつ)といい、その時期に梅に似た容姿の香りのよい花を咲かせるためといわれています。ソシンロウバイはロウバイの園芸品種で、内側の花被片がロウバイは暗赤紫色なのに対し黄色をしており、とくに外側の花被片が黄色くて丸みのあるものをマンゲツロウバイといっているようです。
クロモジ(クスノキ科クロモジ属)
山地に生える雌雄異株の落葉低木。全体に特有の香りがあるため、灰褐色または緑黒色の樹皮をつけたまま楊枝や箸などに加工するほか、葉や果実は香水の原料として利用されています。枝や材は柔らかくてねばり強く、油分を含んでいるため、降雪時に用いる「かんじき」などに用いられています。新芽の脇についているのはつぼみで、葉に先立って薄黄緑色の花を咲かせます。
シナマンサク(マンサク科マンサク属)
1月18日にご紹介したときには咲き始めたばかりでしたが、1ヶ月ほどたちほぼ満開になりました。シナという名が示すように中国中部を原産とする一品種で、日本では庭園木として植えられています。マンサクは北海道西南以南の山地に生える落葉樹で、早春の花として知られます。昨年は花色が赤褐色のアカバナマンサクも同時に満開をむかえましたが、今年は寒いためかこちらはまだまだのようです。

2006年2月8日

ヒイラギナンテン(メギ科ヒイラギナンテン属)
別名をトウナンテン(唐南天)といいます。台湾からヒマラヤを原産とし、日本には薬木として江戸時代に伝えられたといわれています。ナンテンに似ていながら、ヒイラギに似た葉をもち、早春に甘い香りのする黄色い花を穂状につけます。庭木のほか、生花の花材としても利用されます。最近では防犯用に垣根に用いたり、また乾燥に強いので都市緑化にも利用されています。
ヨーロッパトウヒ(マツ科トウヒ属)
ドイツトウヒともいいます。ヨーロッパ原産の針葉樹で、とくにクリスマスツリーとして知られています。枝先の冬芽をおおっていた鱗片が徐々にひらいて、花のように見えています。枝を幹のほうへたどっていくと、この中心から枝がでてくることがわかります。まだ花をつけませんが、まつぼっくり状の球果は世界にあるトウヒのなかで一番大きいものをつけます。いつ球果がつくのか楽しみですね。
シセントキワガキ(カキノキ科カキノキ属)
中国原産のトキワガキの1種です。トキワ(常盤)の名があるように常緑のカキで、冬でも葉が落ちず、果実も美しいので、庭植えや盆栽仕立てなどで楽しまれています。ふつうカキは果実が枝に直接ついているようにみえるほど花柄が短いのですが、シセントキワガキは長い花柄でぶらさがってつくのが特徴です。通常では落ちてしまっている果実ですが、今年はまだ数個が状態のよいままついています。

2006年2月1日

フクジュソウ(キンポウゲ科フクジュソウ属)
落葉樹の林床に生える宿根草で、木々がまだ芽吹かない早春に花を咲かせます。旧暦の正月ごろに咲くことなどから、福告げ草や元日草ともいい、江戸時代から栽培がはじまり、最盛期には160以上もの園芸品種があったといわれます。花は陽の当たっているときだけ開いています。花がすむころ深く切れ込んだ葉が伸びてきますが、この葉も木々が繁る夏ごろにはすっかり枯れてしまいます。
エンコウスギ(スギ科スギ属)
スギが話題となる季節となりましたが、苑内にはちょっと変わったスギがあります。冬空をバックに、独特の枝葉のかたちがよくわかりますね。この様子があたかもサル(猿猴:えんこう)が手を伸ばしているようにみえることからこの名があります。野生からの選抜とされるこのようなスギの珍品が鑑賞されるようになったのは江戸時代後期からとされ、現在でも花材や庭園木として使われています。
モミジイチゴ(バラ科キイチゴ属)
冬芽やトゲのかたち、枝の状態など、葉を落とした時期でもキイチゴの仲間は特徴がよくわかります。木本ですが、枝はだいたいが数年で枯れてしまうため大木にはなりません。散策などでトゲにうっかり服がひっかかってしまったときには、ぜひ調べてみてください。写真はモミジイチゴで、本州中部以北の山野の日当たりのよいところに生え、葉の形からこの名があります。花は4月中旬ごろ開きます。