このページの目次
2006年1月25日2006年1月18日2006年1月11日2006年1月4日

2006年1月25日

雪の植物苑風景

畑と東屋

1月21日に降った雪が解けずに残っています。積雪10数㎝。千葉県ではなかなかみられない雪景色です。葉を落とした落葉樹の林床は明るく美しく、普段は通り過ぎてしまうマツやタケの仲間は、雪化粧をすると一転、伝統の意匠そのままに引き立ちます。しかし、冬でも葉を落とさない常緑広葉樹のヤマモモ、クスノキ、ナンテンなど、積雪の重みにたえられず、枝が折れているものもみられました。


クマノミズキの林

ヤダケ

ナンテン

折れたヤマモモ の大枝

冬の華・サザンカ

今月いっぱい見られます。

ハルサザンカ群 [燭紅錦]

ハルサザンカ群 [紅雀]

ハルサザンカ群 [東牡丹]

2006年1月18日

シナマンサク(マンサク科マンサク属)
シナの名が示すように中国中部を原産とする一品種です。マンサクよりもひとまわり大きな葉は、花の時期でも残っているのが特徴です。マンサクは北海道西南以南の山地に生える落葉樹で、花は早春の花として知られ、葉に先がけて咲きます。材はねばり強くよじることもできるため、屋根を葺くときのナワとしても用いられています。今年は寒いので、やっと、暖かい幹近くの花がほころんできました。
ネコヤナギ(ヤナギ科ヤナギ属)
山野の水辺に自生する落葉低木です。灰白色の軟毛に被われている尾状花序を猫の尾にたとえてこの名があります。先日少し寒さがゆるんだおりの暖かい日差しに、暗赤色の皮に覆われていた花芽がコートを脱ぐようにうごきだしました。ヤナギの仲間は雌雄異株で、多くは葉に先立って花をつけますが、花びらがないので、軟毛から直接雄しべや雌しべが出ているように見えます。花は3月上旬ごろ見られます。
ケヤキ(ニレ科ケヤキ属)
枝を落としてから3年目となるケヤキの枝の跡です。中央下部の切った枝の周辺の樹皮がもり上がり、この部分が徐々に狭まってきており、昨年よりスピードは遅くなりましたが、確実に枝打ちの跡を補修してきているのがわかります。上部にみえるこぶも同じようにケヤキが自らを補修した後です。木が活動している部分は樹皮のすぐ下の形成層というところで、栄養や水分の通り道があります。形成層が活動する限り木は生きています。

冬の華・サザンカ

現在は温室で公開しています。通常ならばハルサザンカが主となる時期ですが、今年は寒く、まだサザンカ群やカンツバキ群もみることができます。

ハルサザンカ群 [銀竜]

ハルサザンカ群 [長春]

ハルサザンカ群 [六歌仙]

2006年1月11日

マンリョウ(ヤブコウジ科ヤブコウジ属)
暖地の林床に生える常緑低木です。古くから縁起のよい植物として親しまれ、晩秋に熟す赤い果実と葉を楽しむ伝統園芸植物としても知られています。江戸時代末期ごろ、自生種の中から白実や黄実、斑入り葉、変り葉などを選抜して様々な品種が作られました。現代ではめっきり少なくなりましたが、お正月の飾り物のなかに見ることがあります。植物苑では赤実と白実の2種をみることができます。
アオキ(ミズキ科アオキ属)
本州以南の林床に生える雌雄異株の常緑低木です。春に咲く花は紫褐色で地味ですが、翌春まで残る赤い果実と、つやのある葉が美しいので、欧米でも好まれています。葉に斑の入ったものや、果実は赤色のほか黄色や白色に熟す品種もあります。葉には解熱作用などがあるので民間薬として用いられます。今年は台風の影響が少なかったためでしょうか、果実がたわわにつき、垂れ下がる姿が見られます。
キンカン(ミカン科キンカン属)
中国原産で古く渡来し、果樹や観賞用として栽培されてきました。2cmほどの小さな果実は、果肉に酸味がありますが、果皮に甘味があるので、皮を剥かずに生食、あるいは蜂蜜漬などに利用されます。食用にはマルミキンカンやニンポウキンカン(寧波金柑)が適しているといわれています。干した果皮はダイダイの果皮「陳皮・ちんぴ」の代用として薬用にも用いられます。
センダン(センダン科センダン属)
暖地に自生する落葉高木で、初夏に薄紫の花を咲かせ、果実は冬に黄色く熟します。鳥たちの冬場の食料となるため、樹下には種子(核)がたくさん落ちています。果実は傷薬、樹皮は駆虫薬、材は器具に利用されました。美しさで知られるマホガニーもこの仲間です。「栴檀(せんだん)は双葉より芳し」という言葉のセンダンは、香木・白檀(ビャクダン)の異称をセンダンということから、ビャクダンをさしています。

2006年1月4日

ヤマウルシ (ウルシ科ウルシ属)
枝に房状に果実が残っています。年末年始の強い風で通年よりも残っているものも少なくなりました。すでに果皮がはじけてしまっているものもありますが、細かい刺のような毛が生えています。果皮がはじけて白くみえている部分には、ロウ(木蝋)が多く、ハゼノキと同じように利用できます。冬場で葉はすでにありませんが、観察の際にはかぶれることがありますのでご注意下さい。
クチナシ(アカネ科クチナシ属)
果実は食品や繊維製品の染料として使われます。お正月に食べたきんとんの色づけにクチナシを使った方もいらっしゃるのではないでしょうか。初夏に咲く花は香りがよいため、つい花に目がいきがちですが、この変わった形の果実は、じつはガクがそのまま残ったものなので、今夏はぜひガクも見てください。しかし、公園などで目にする多くは八重咲の園芸品種で、残念ながらこちらには果実がつきません。
ナンテン(メギ科ナンテン属)
果実や葉を漢方薬として咳止めや強壮剤に用います。また、葉を赤飯などの飾りとすることでも知られています。材は黄色く、あまり太くはなりませんが、加工して箸などに利用します。インドから中国南部に分布し、日本にも野生がありますが、本当の自生かどうかはよくわかっていません。今年は果実のつきがとてもよいようですが、いつの間にか鳥に食べられてなくなってしまいます。
シキミ (シキミ科シキミ属)
暖帯の山地に生える常緑樹で、仏事に多く用いられます。植物全体に精油を含むため芳香があり、葉や樹皮からは抹香や線香がつくられます。果実は中華料理などに用いる香辛料、スターアニス(八角:はっかく)にとてもよく似ていますが、シキミには強い毒性があるので注意が必要です。スターアニスは中国南部やベトナム北部に生えるトウシキミの果実で無毒です。