植物苑にも犬さんがいるかな?

  • 執筆者:塚田泰子(くらしの植物苑ボランティア)
  • 公開日:2006年1月28日

今年の干支は戌(犬・狗)ですね。名前にイヌのついた植物があるでしょうか?子供のころからよく知っていて大好きな草花に、帰化植物のオオイヌノフグリがあります。陽の当たる春の道ばたに一斉に咲く青い小花をみつけるのは散歩のときの楽しみです。でも、名前の由来が在来種のイヌノフグリの果実の形からきていることを知ったときには、なんだか、かわいそう~と思いました。

さて、それでは苑内にもイヌさんがいるでしょうか?思ったより、たくさんありました。本を調べてみると、別名を含めて、和名にイヌ(犬・狗・いぬ)がつく植物は100種類以上もありましたので、ここで見られる樹木や草を中心にご紹介します。イヌマキ(犬槇)、イヌガヤ(犬榧)、イヌツゲ(犬黄楊)、イヌコリヤナギ(犬行李柳)、イヌエンジュ(犬槐)、オオイヌノフグリ(大犬陰嚢)、エノコログサ(狗尾草)=エノコグサ(犬子草)。

それから、別名に犬・狗がつく植物も苑内にはたくさんあります。メギ:イヌキハダ(犬黄蘗)、ネズミモチ:イヌツバキ(犬椿)、タブノキ:イヌグス(犬樟)、ヤブニッケイ:イヌケシン(犬桂心)、マユミ:イヌマユミ(犬檀)、ヤマボウシ:イヌグワ(犬桑)、アラカシ:イヌガシ(犬樫)、イイギリ:イヌギリ(犬桐)=イヌセンダン(犬栴檀)、ヤマゴボウ:イヌゴボウ(犬牛蒡)、アサザ:イヌジュンサイ(犬蓴菜)、ネコヤナギ:エノコヤナギ(狗子柳)=インノコヤナギ(犬子柳)、ヒイラギナンテン:ヒラギナンテン(狗骨南天)。

車場にはサンゴジュ:イヌタラヨウ(犬多羅葉)、城址公園にはイヌシデ(犬四手)、イヌザクラ(犬桜)があります。

このほかにもスズメノエンドウ:イヌエンドウ(犬豌豆)、イヌタデ(犬蓼)、アキニレ:イヌケヤキ(犬欅)、イヌビワ(犬枇杷)、イヌブナ(犬ブナ)、スズメノテッポウ:イヌノヒゲ(犬髭)、オオイタドリ:イヌイタドリ(犬虎杖)などがあります。

イヌのつく植物は、その名が植物の形からついたものは少なく、(1)同じ仲間だがあまり役に立たないから。(2)卑しんでそう呼んだ。(3)形状は似ているけれど、仲間ではない。などという理由が多いようです。また、別名についている名は、昔からある地方独特の呼び方がたくさんあります。

縄文時代の遺跡からは、大切に葬られた愛犬の骨が出てきます。植物の犬さんたちも、名前の由来はともかく、大事に可愛がってください。


画 : 齋藤 正雄
オオイヌノフグリ
(ゴマノハグサ科クワガタソウ属)
Veronica persica
※西アジア原産の帰化植物、
日本各地でみられる

参考文献 

  • 『動植物名よみかた辞典』(紀伊國屋書店)1991
  • 奥田重俊編『日本野生植物館』(小学館)1997
  • 『牧野新日本植物図鑑』(北隆館)1989
  • 『日本植物方言集成』(八坂書房)2001