キクはキクでも古典菊

  • 執筆者:栗田義彦(くらしの植物苑ボランティア)
  • 公開日:2005年11月26日,12月17日

今年から常設展となり、11月上旬から開催、12月上・中旬ごろまでは菊花を楽しめそうです。

菊は、今では供花として一年中見ることができるようになりましたが、くらしの植物苑で見られる菊は古典菊で、その由来は「くらしの植物苑だより」41号や69号に紹介されています。また、菊が古くから身の周りの様々なものを美しく彩る装飾文様として好まれてきたことは、「くらしの植物苑だより」91号や、昨年夏に開催された「海をわたった華花」展示図録でも紹介されています。

菊の花は、中央部に固まって咲く筒状花(管状花)とその周囲の舌状花で構成され、花の中で最も進化した花とも言われています。花を観賞するにあたり、それぞれの特徴は次のようになります。

江戸菊:花の咲き始めは全部の舌状花の花弁が垂れ下がり筒状花が見えます。さらに咲き進むと中心部の舌状花の花弁から順次立ち上がり、いろいろに折れ曲がって筒状花を包み込むように抱えます。江戸菊は咲いて10日、開いて10日、狂って10日と言われ、長く楽しめる花です。

嵯峨菊:糸のように細い多数の舌状花の花弁が、咲き始めは横に向いて開き、花芯を露出し、花弁がほぼ伸びきると真直ぐに立ち上がって刷毛状に咲くのが特徴です。

伊勢菊:5月に伝統のナデシコを鑑賞された方はお分かりと思いますが、菊も花弁が垂れ下がるのが特徴です。伊勢三花のもう一つは花菖蒲で、佐倉城址公園の菖蒲畑で6月ごろ見られます。

肥後菊:細い舌状花の花弁が20から30前後の一重咲きです。肥後六撰(菊・椿・芍薬・花菖蒲・朝顔・山茶花)の一つで永く門外不出でした。

そのほか、花芯部の筒状花が丁子弁になって盛り上がって咲く丁子菊や、両手で花をキュッと掴んだように盛り上がり、太い花弁が垂れ下がる奥州菊、比較のための現代菊などをみることができます。

畑には、黄や薄紫の食用菊‘阿房宮’や‘延命楽(もってのほか)’が栽培されています。香りはそのままで苦みが少なく、天ぷら・おすし・海苔巻き・酢の物・汁物・漬物・お茶に用いられます。またリキュールに漬けて菊酒も楽しめます。少し高級になるかもしれませんが、菊花展などでみかける大輪咲きの分厚い花弁も、苦味がなく、美味しく食べられるようです。ただし、消毒にはご注意を。

キク(キク科キク属)Chrysanthemum morifolium

伊勢菊、嵯峨菊、肥後菊 どれがどの系統かわかりますか?