平成のアサガオブーム

  • 執筆者:栗田 義彦(くらしの植物苑ボランティア)
  • 公開日:2005年7月23日、8月27日

昨年夏の企画展示に「海をわたった華花」があり、本館・植物苑に大勢のボランティアが参加しました。ボランティア研修の中で、当館客員教授 辻 誠一郎氏(東京大学)は、ご自身が植物に興味を持つようになったのは、「栽培植物の起原」という岩波文庫の本に出会ったからと話されました。この本は1882年にスイス人のドゥ・カンドールが書き上げ翌年出版し、1941年国内で翻訳出版されましたが一時絶版となり、その後1953年に岩波文庫から出版されたものでした。上・中・下の3冊からなるこの本は、神田の古本市でもめったにお目にかかれないそうです。今から120年以上も前に、カブやトマトやサツマイモなどの栽培植物(野菜)のルーツを調べた本でした。驚きの限りです。

日本でも、同じような偉業があった事を、植物苑にこられる方々はお分かりだと思います。そうです。アサガオです。メンデルの遺伝の法則が発表(1865年)になる前に、江戸時代の人々は文化・文政期(1804~1830年)と嘉永・安政期(1848~1860年)に、次々と新しいアサガオを作っていたのです。

この江戸時代から続くアサガオを研究されている九州大学大学院の仁田坂英二氏から種を提供していただき、1999年(平成11年度)から展示がされているわけです。ここから平成のアサガオブームが始まったと言っても良いのでしょう。

現在、保有系統は二百数十種におよび、その中から毎年90系統程度が順次展示されているようです。アサガオは朝眺めるものですが、くらしの植物苑では午後からも見られるよう、遮光したり水を頻繁に供給したり色々工夫されているので、結構閉苑まで楽しめます。

来苑者の中には、愛好家はもちろん、新しい品種を生み出した方の御子孫や、現在もご自分で新種を作られている方々もいらっしゃるようです。変化アサガオの人気は大変なもので、児童書でもくわしく解説している本もあります。

流星獅子咲牡丹 采咲牡丹