クサギとコクサギは親戚なの?

  • 執筆者:岩井寿子(くらしの植物苑ボランティア)
  • 公開日:2005年6月25日

植物の中には、同じ属の草木で、大小があるものにオオ(大)・コ(小)をつけて呼ぶものがあります。

例えば、イヌノフグリに対してオオイヌノフグリ、ムラサキシキブに対してオオムラサキシキブ、クチナシに対してコクチナシ等がそれにあたります。

ところが、クサギとコクサギでは科がまったく違うのです。クサギはクマツヅラ科でコクサギはミカン科です。科が違うので葉一つをとってみても次のようです。

科目 クサギ コクサギ
葉の形 卵形
葉先は鋭尖頭
葉脚は円形
倒卵形
葉先は鋭頭
葉脚はくさび形
葉の色 濃い緑 濃い緑
葉の状態 裏表両面の葉脈上に毛がある 光沢がある
葉の香り ビタミン剤に似た強烈な香り すっきりとしたさわやかな香り
油点 なし あり
葉脈の形 ループ状 まっすぐ

※油点:ミカン類の葉等にみられるやや透明な小さい点。この内部の細胞間隙に油滴がみたされる

また、クサギの花期は8~9月でまだ見られませんが、今年伸びた枝の葉先から直径20㎝内外の集散花序を出します。白い花は、細い筒状の先が5枚に分かれています。雄しべは4本で長く、雌しべと共に花の外に出ています。花はよい香りがします。赤紫の星形のガクの内に光沢のあるルリ色の丸い実をつけます。この実は染色に使われていました。

コクサギの花期は4~5月、葉がまだ伸びない頃、去年伸びた枝に黄緑色の花が咲きます。雄花は、約10個位の花からなる総状花序です。ガクと花弁は各4枚、雄しべは4本ですが子房は退化しています。雌花は雄花よりやや遅れて咲き、一本の柄に一個の花をつけ、4枚のガクと花弁、一本の雌しべと退化した4本の雄しべがあります。子房はなかば合着する4枚の心皮からなっています。果実はだ円形で内果皮が木質なので反転し、その時、丸い黒い光沢のある種子を飛ばします。

クサギとコクサギ、以上のように違うものがあたかも同じ属のように呼ばれているのは、コクサギは、普通の葉に比べて、ついた香りがなかなか取れない等、香りが強いけれど染料として身近にあったクサギほどではないということから、コクサギと名付けられたのではないでしょうか。

コクサギの花
(ミカン科コクサギ属)
Orixa japonica
クサギの花
(クマツヅラ科クサギ属)
Clerodendrum trichotomum
クサギの果実

参考文献

  • 『日本野外植物図譜』 誠文堂新光社 1984
  • 『原色日本植物図鑑』 保育社 1987