くらしの植物苑観察会

毎月第4土曜日
13:30に苑内のあずまやに集合
15:00頃までの予定、苑内の季節の植物も観察

  • 12月21日(土) 第57回観察会『冬至の植物文化史』 辻 誠一郎(歴博)
  • 1月25日(土)  第58回観察会『木の文化史』 山田 昌久(東京都立大学)
  • 2月22日(土)  第59回観察会『酒造りと植物』 辻 誠一郎(歴博)
  • 3月22日(土)  第60回観察会『梅と桃の文化史』 辻 誠一郎(歴博)

知ってる?カボチャの話

  • 執筆者:吹春 公子
  • 公開日:2002年12月20日

冬至が近づくと、カボチャとユズ湯をおもいうかべる方が多いとおもいます。ユズはさておきこのカボチャ、一体どんな形を 思い浮かべましたか?はたしてその色は何色でしょうか?

一口にカボチャといってもその種類はかなりのものになります。現在日本で栽培されているカボチャの類は、ニホンカボチャ(東洋種)、セイヨウカボ チャ(西洋種)、ペポカボチャ(ペポ種)の大きく3つの種類にわけられます。

ニホンカボチャは、京野菜の鹿ケ谷(ししがたに)をはじめ、ごつごつした黒皮や溝筋の深い菊座などがあげられ、今年植物苑で話題になった、タイヤのよう な夕顔南瓜もこの仲間です。セイヨウカボチャは、その代表である黒皮栗、皮が濃いオレンジ色の赤皮栗や白っぽい白皮栗、特殊なかたちのバターナッツなどが あげられます。セイヨウカボチャはニホンカボチャよりほくほくしているので、クリカボチャともいわれています。なるほど、品種にも栗の文字が使われていま すね。

近頃八百屋でよくみかけるズッキーニもりっぱなカボチャです。一見すると太いキュウリのようですが、飾りとして使われるおもちゃ南瓜と同じ仲間のペポ種 で、ほかに、ハロウィンで知られる巨大なアトランティックジャイアントや中身が糸のようにほぐれる金糸瓜(ソウメンカボチャ)、またプッチーニなどがあり ます。最近では、様々な品種のかけ合わせによって生まれた雑種も多数存在しており、純粋なものは数少なくなってきています。

カボチャの原産地は中央アメリカですが、日本には16世紀に渡来したといわれています。トウナス(唐茄子)やナンキン(南瓜)の名があるように、おそら くは大航海時代にヨーロッパに伝わったものが中国や南方の国々を経由し、日本に入ってきたものとおもわれます。一説にはカンボジア経由で入っていたので、 それが訛ってカボチャになったともいわれています。当時つくられていたのは現在でいうニホンカボチャでしたが、明治時代初頭にアメリカからセイヨウカボ チャが入ってくると、食生活の洋風化にともなって嗜好も変化してゆき、現在ではこちらが主流となりました。

冬至にカボチャを食べる習慣は、夏野菜であるカボチャが冬まで貯蔵できることが大きな理由ですが、加えてビタミンAのもとになるカロチンやビタミンCな どを多く含んでいることで、冬をのりきるための滋養補給ができることにあります。冬至にカボチャを食べると風邪や中風にかからないといわれるのはそのため です。鹿ケ谷の特産地、京都市左京区鹿ケ谷にある安楽寺では、夏の土用にあたる頃(毎年7月25日)にカボチャ供養があり、中風にならないように参拝者に 振舞う行事が行われます。夏冬を通して、これも理にかなった先人の知恵といえます。