くらしの植物苑観察会

毎月第4土曜日(13:30 ~ )

10月27日(土)第43回くらしの植物苑観察会
『畑作物の収穫と貯蔵』
ウコンを例に収穫と貯蔵の方法を実践
渡邊 重吉郎(国立歴史民俗博物館)

うこんの話

  • 執筆者:渡邊 重吉郎
  • 公開日:2001年10月14日

ウコンはショウガ科の植物で、生薬名は鬱金(うこん)と言います。原産地は熱帯アジアで、タイ、ミャンマでの栽培が盛ん です。我が国への渡来については、タイ、中国を経て沖縄に伝わったとされます。当時の琉球は、中国との交易でも財政が圧迫し、1609年の薩摩藩の侵略に よってさらに追い詰められることになりました。琉球王府はその経済打開策としてウコンを専売品にしようとしたのです。1646年からウコンの専売が始まり ました。その結果、琉球での耕作面積が広がり、その勢いは食用作物の栽培を脅かし、王府もウコンの栽培面積を制限したほどです。江戸時代中期の1713年 に発売された寺島良安の『和漢三才図会』は我が国最初の図説百科事典ですが、その中にウコンも見えます。1771年に田村藍水が著した『琉球産物志』にも 紹介されています。これは藍水が薩摩藩主の島津重豪から送られた植物標本千余種を資料としての労作です。藍水以降、その弟子であった平賀源内を含めて、江 戸時代後期にかけて優れた本草学者が各藩に輩出していますが、ウコンについても盛んに研究がなされました。ところが、明治以降では、ウコンの存在が急速に 忘れ去られていきました。我が国の医学が西洋医学を中心とする体制に切り替わったからです。そして現在、再びウコンが現代の薬草としてよみがえってきまし た。1950年代に入ると、沖縄の多和田真淳が『鬱金考』という論文を書いたことに端を発して、ウコンの再評価が始まりました。
くらしの植物苑では、3種類のウコンを栽培しています。

春ウコン
(学名:クルクマ・アロマチカ)
この種(しゅ)はまだ日本薬局方の生薬として認定されていませんが、沖縄では薬理作用を有する生薬として栽培されています。春ウコンの花(苞葉)は白色から淡いピンク色を呈し、4月から5月にかけて咲きます。根茎の切り口や粉末は鮮やかな黄色です。
秋ウコン
(学名:クルクマ・ロンガ)
古くから沖縄で栽培されてきたこの種は、日本薬局方の生薬として認定されています。古くから衣料の黄色染料として用いられ、虫除けの役目を果たしてきました。また、殺菌作用があるため、食べ物の着色剤としてもよく利用されています。カレー粉の黄色い色素は、秋ウコンから取り出された成分です。
紫ウコン
(学名:クルクマ・ゼドアリア)
「ガジュツ」と呼ばれています。若芽と花序が野菜や香辛料にされ、根茎は健胃剤にされます。