くらしの植物苑観察会

毎月第4土曜日(13:30 ~ )

9月22日(土)第42回くらしの植物苑観察会
『歴史の中のヒョウタンとその仲間』
日本に渡来して約1万年の歴史をもつヒョウタンの歴史
辻 誠一郎(国立歴史民俗博物館)

ヒョウタンとその仲間

  • 執筆者:辻 誠一郎
  • 公開日:2001年9月6日

夏から秋にかけて、暑さをしのぎに入った棚の上に、大きなヒョウタンがブランとぶらさがっているのに気づいて、驚いた記憶があります。小さいものなら可 愛いですが、長さが50センチ以上もある巨大なものに出会うと、さすがに不気味です。

ヒョウタンと聞いたとき、わたしたちがイメージするのは、きっと中央がくびれたものでしょう。ところが、ヒョウタンには、くびれていないものや、クビが ひじょうに長くなってフラスコ形をしたものや、まん丸の球形のものまで、さらに大きさも微小なものから巨大なものまで、多様なものが含まれるのです。日本 では、いつからか、くびれたものをヒョウタンと呼び、くびれが無く、ぼってりとしたものをユウガオと呼ぶようになりました。これは形の違いから便宜的に分 けたもので、生物学では、ただ一種の植物なのです。ですから、ユウガオかヒョウタンのどちらかの名称に統一した方がいいのかも知れません。

もっとも、利用の仕方が違っていて、ユウガオの方は、果実をヒモのようにくり抜いて、カンピョウ(干瓢)という食品にします。ちらし寿司にも巻き寿司に も入っている高野豆腐のような色をしたものです。覚えがあるでしょう。外側の堅い皮の部分は、乾燥させて、毛玉を入れる容器にしたりします。一方、ヒョウ タンは、ほとんどの場合、果実の中に入っている種子をていねいに抜き出して、七味とうがらしを入れる容器や置物・飾り物にしています。まれに、若い果実を 奈良漬けにしたりします。

ユウガオ(ヒョウタン)が日本に登場するのはとても古く、およそ1万年前の縄文時代早期の遺跡から種子や果実の皮が出土しています。福井県三方町の「鳥 浜貝塚」と、滋賀県の琵琶湖底にある「粟津湖底遺跡」の2ヵ所で見つかっています。「鳥浜貝塚」では、種子を出すために切り捨てた柄に近い部分がたくさん 出ています。縄文時代前期のおよそ7千年前の「曽畑貝塚」からは、未使用の完全な果実も見つかっています。