くらしの植物苑観察会

毎月第4土曜日(13:30 ~ )

『サトイモのはなし』 
講師:小西 達夫(国立科学博物館) 
1月 2 2日(土)くらしの植物苑観察会 
13:30~ くらしの植物苑 
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初春の植物苑

  • 執筆者:辻 誠一郎
  • 公開日:2000年1月27日

年末から年始、例年になく暖かい冬のたよりがとどきます。雪が降るべきところに雨ばかりで、日本海側の多雪に適応した植物たちも、きっと驚いていること でしょう。

植物苑の植物たちも、今年は例年より早い芽吹きと開花が期待できるかも知れません。ちょっと見ないうちに、木々の芽はしだいに大きくなり、トチノキやホ オノキ、コブシなどは、いまにも開いていきそうな、ぼってりとした大きな芽をつけています。まだ開かないけれど、開花しているかのように、たくさんのつぼ みからなる手鞠(まり)のような花序を枝の先端にいっぱいつけたミツマタが一角を占領しています。黄金色というのがふさわしいロウバイの花びらが遠くから でも分かるようになってきました。すぐそばには、あざやかな黄色のフクジュソウが、土の中から芽を出しはじめました。まだ開花にはほど遠いハチジョウキブ シの花序だけが、たくさん、枝から斜め下に向かって延びはじめました。 1週間もたたないうちに、植物苑の植物たちは、すっかり姿を変えてしまいそうな勢い です。新春の植物たちを、ほかほかとする一日、ゆっくり見てみることにしましょう。

〔ロウバイ・蝋梅〕:トウウメ、ナンキンウメ、ランウメとも呼ばれ、中国では蝋梅や金梅などと書きます。日本でも蝋梅と書くのがふつうです。江戸時代、後 水尾天皇のときに、朝鮮からもたらされたと言われていますが、諸説があってよく分かっていません。中国からもたらされた植物と考えられています。現在、中 国の湖北と福建に近縁の 2種が自生していることが知られているからです。中国では、唐の時代以降にこの花を愛でたという記録があり、宋代から明代には絵に 描かれるなど、また、いろいろな園芸品種がつくられるなどして、ずいぶんもてはやされたことが歴史資料から知られています。

葉より黄色の光沢のある花が先に開花するので、庭先では初春を彩る植物としてよく知られています。十日恵比須には、ウメやモモなどとともにつぼみを付け たロウバイが大きな顔をしています。花びらが多数ありますが、外側の花びらと内側の花びらはそれぞれ由来が違っていて、植物学では花の進化を考えるのに興 味深い植物として注目されています。ロウバイ属の学名はChimonanthus、ギリシャ語の冬を意味するcheimonと花を意味するanthosを 合成した名前です。早ければ年末から咲き、ウメが満開になる頃まで咲いているので、「冬の花」と名付けられたのです。

今咲いている花・近く咲く花

木本 サザンカ ロウバイ
ビワ ヒイラギナンテン
ボケ サザンカ
ワビスケツバキ ミツマタ
ニオイミツマタ  
草本 フッキソウ フクジュソウ

今果実がついているもの

ウンシュウミカン キンカン
クネンボ センダン
マユミ