くらしの植物苑観察会

毎月第4土曜日13:30 ~ 15:30
7月24日(土)の観察会のテーマ:『伝統の朝顔』

8月3日(火)~9月5日(日) 
くらしの植物苑特別企画『伝統の朝顔』展 

1毎日、先着50名に伝統の朝顔の種子を無料で差し上げます。 
毎日、種類(系統)が違います。
伝統の朝顔の育て親になって、「江戸を咲かせて」ください。
図録『伝統の朝顔』や絵はがきを販売します。

朝顔のはなし

  • 公開日:1999年7月16日

朝顔は植物名ではアサガオとかたかなで書きます。ヒルガオ科の一種です。アサガオ の正式な学名は Ipomoea nil です。ラテン語の属名と種小名の 2語からなります。 「イポモエア ニル」と読んでください。属名のイポモエアはサツマイモ属で、「イモ ムシに似た」という意味です。アサガオのつるの伸び方が、イモムシが地面をはう習性 に似ていることからこの名がつきました。種小名のニルとは、アサガオのアラビア名で す。アサガオや近縁のアメリカアサガオの仲間をアサガオ属 Pharbitisとしてサツマイ モ属から独立させるという考えもあります。 2語からなる学名のつけ方を 2名法といい ますが、すべての植物にはこの方法による学名がつけられているのです。

アサガオは一年生のつる植物です。原産地は中国南部からヒマラヤにかけてか、東南 アジアといわれています。日本には奈良時代に中国あるいは朝鮮半島からもたらされた といわれていますが、定説はありません。当時は利尿・駆虫のための薬用として栽培さ れていたようです。平安時代や中世に描かれたアサガオはいずれも淡青を主とした丸咲 きの単純な花形しか知られていませんでした。

江戸時代までに、白と薄い黄色の花が登場してくるようになりました。そして江戸時 代も後半を迎えると、葉や花の形が変化したいわゆる変化朝顔がつくられ、維持される ようになります。そしてついに、文化・文政期頃には江戸・大坂では朝顔がブームとな り、花合わせという品評会が開催されるようになりました。つづく嘉永・安政期頃には 再び爆発的ブームを迎えることになり、丸咲きの単純な朝顔とは似ても似つかない変化 に富んだ朝顔がつくられるようになりました。

江戸時代の終わりごろに競ってつくり出された変化朝顔は、生物の隠れた性質すなわ ち劣性遺伝子をみごとに引き出したものです。さまざまな遺伝子型が組み合わさって、 葉や花の色・形がいちじるしく複雑なものがつくられました。その創意・工夫の歴史を ひもといてみましよう。