このページの目次
第406回「中世日本の国際交流-船舶・航海の視点から-」

第406回「中世日本の国際交流-船舶・航海の視点から-」

開催要項

日程 2018年1月13日
講師 荒木 和憲(本館研究部)

開催趣旨

中世の日本は自由闊達な国際交流が花開いた時代です。東アジアの中国・朝鮮・琉球はもちろんのこと、東南アジア、遠くヨーロッパとも交流しました。そうした日本の国際交流は、列島をとりまく海、そしてその海を越えるための船と航海の問題を抜きにして考えることはできません。

造船史の分野では、絵巻物に描かれた船をもとに、中世は準構造船から構造船へと発展した時代であるとされます。その代表例が中国(明)に渡る遣明船や東南アジアに渡る朱印船に使用された大型船です。こうした大型船が外洋船として使用され、国際交流の範囲を拡大させた意義は大きいのですが、大型船だけが国際交流に使用されたかといえば、そうでもありません。

中世の日本は朝鮮と活発に交流していました。とくに15世紀後半からは対馬が貿易権の独占化を図り、対馬と朝鮮との間では小型・中型の和船が頻繁に往来しました。もちろん大型の遣明船に比べれば、船1艘あたりの積載量は取るに足らないのですが、遣明船団がおおむね10年に1回のペースで往来したのに対して、遣朝鮮船は多いときには1年間に150回ほどのペースで往来しました。こうした朝鮮との日常的かつ頻繁な貿易が日本の経済に与えた影響は無視できないものがあります。

そのような見方をすると、対馬と朝鮮との間を往来した小型・中型の和船がどのような船だったのか、そして実際にどのような航海をしていたのかを考えてみる価値は十分にあるでしょう。

今回の講演会では、現在進行中の歴博共同研究「中世日本の国際交流における海上交通に関する研究」の最新成果の一端を紹介しつつ、地味ながらも堅実に中世日本の海外貿易を支えた小型・中型の和船の実態に迫りたいと思います。