コレクション名:版本易林本節用集

九州大学附属博物館蔵  慶長2年刊(1597)、上下2冊。節用集は室町時代中頃に成立した国語辞書の一つで、現在は諸種の異本が伝えられる。当時の日常社会生活で用いられていた多数の語彙が集められ、「いろは分け(音引き)」とし、さらに各音を部門別に細分、室町時代後期の国語辞典としては最も整ったもので、中世の国語を知る上で重要な本とされる。節用集「伊」部の最初の文字は本により相違があるが、この易林本は「乾」字から始まる。以後の節用集刊本は全てこれに拠っており、後世の辞書、教科書に大きな影響を及ぼした。なお、本書は漢字を揚げ、その右傍(時に左傍にも)片仮名の音もしくは訓を付し、片仮名資料の一つにもなっている。