コレクション名:名所歌枕

本書『名所歌枕』は名所を詠んだ古歌を載せた名所歌集で、後陽成天皇自身が編纂した『方輿勝覧集』の自筆本である。『方輿勝覧集』には、歌の配列の原理や歌の数が大きく異なる3種の写本が知られており、そのうちの2種の原本(同天皇自筆本)が歴博の「高松宮家伝来禁裏本」の中に伝わっている(H600-1300『方輿勝覧』、H600-1612『倭歌方輿勝覧』)。残る1種が本資料であり、かつて禁裏もしくは宮家・公家などに伝来していたものと考えられ、禁裏本および高松宮本の研究に資する点が多い。