データベース概要
地域蘭学者門人帳データベース
A Database on Student Records of Regional Rangaku Scholars
公開年月:2006年3月
本データベースは、近世蘭学者が記載されている門人帳から、人名・出身地・師匠等の記載すべてをデータ化し、公開するものである。作成にあたっては、現在の都道府県名の項目を設定するなど、検索の便を図った。
すでに公刊された同種の活字本は武内博編著『日本洋学人名事典』(柏書房)があるが、1050人を記載するにとどまっている。本データベースによって、地域蘭学の全体像が見えてくるとともに、近世地域文化の一端を描き出すことができ、蘭学研究者のみならず、市史編纂や近世史研究・文化史研究に大きく寄与することができれば幸いである。
なお、本データベースは、本館共同研究「地域蘭学の総合的研究」(代表青木歳幸 1999~2001年度)の研究成果である。出典とした各門人帳の概要については、共同研究の報告書『国立歴史民俗博物館研究報告 第116集 地域蘭学の総合的研究』(2004年)掲載の「地域蘭学者門人帳データベースについて」を参照されたい(ただし、資料の性格を検討した結果、掲載をとりやめたものもある)。
本データベース共同研究員のメンバーは、以下の通りである(所属は2001年4月現在のもの)。
青木 歳幸 |
長野県立歴史館・専門主 |
有坂 道子 |
京都橘女子大学・講師 |
井上 淳 |
愛媛県歴史文化博物館・学芸員 |
小川 亜弥子 |
福岡教育大学・助教授 |
酒井 耕造 |
福島県立博物館・主任学芸員 |
下山 純正 |
津山洋学資料館・館長 |
鈴木 幸彦 |
岩手県立博物館・研究協力員 |
髙橋 克伸 |
和歌山市立博物館・学芸班長 |
田﨑 哲郎 |
愛知大学・教授 |
田村 省三 |
尚古集成館・館長 |
塚本 學 |
国立歴史民俗博物館・名誉教授 |
土佐 博文 |
佐倉市役所市史編さん室・主査補 |
鳥井 裕美子 |
大分大学・教授 |
福井 敏隆 |
青森県立弘前中央高等学校・教諭 |
正橋 剛二 |
医療法人白雲会呉羽神経サナトリウム・院長 |
松本 英治 |
開成高等学校・教諭 |
本康 宏史 |
石川県立歴史博物館・学芸主任 |
岩淵 令治 |
国立歴史民俗博物館・助手 |
細野 健太郎 |
立正大学大学院院生、埼玉県立文書館・嘱託 |
長田 直子 |
総合研究大学院大学院生 |
ほか、入力・校正にあたっては、宮野弘樹(早稲田大学大学院生)、高橋伸拓(立正大学大学院生)の協力を得た。
地域蘭学者門人帳データベース凡例
蘭学者門人帳は、塾によって多様な記載形式をとっている。本データベースでは、こうした原資料の記載形式に留意しつつ、同一の書式で情報を提示することをめざし、項目を設定した。
1.全項目に共通する事項
- 一つの項目に複数の記載が該当する場合は「 / 」と区切って入力をした。
- 人名表記などを除き原則として当用漢字で入力した。
- 明らかに間違いのある記載や、補足情報のある場合は該当欄のうしろに「※」をつけ、【備考】欄に説明を加えた。
- 一度入力をしたデータベースをもとに、共同研究員のメンバーが調査を行い、明らかとなった事実に関しても該当項目に「( )※」で括って入力した。
- 原本の段階で虫損及び不読の文字については□で入力した。
2.各項目に関わる事項
【番号】
- 各門人帳に記載された門人の記載順序を入力した。半角英数字で入力。
【人名】
- 蘭学塾の入門者名を入力した。全角漢字で入力。原則として原本の文字をそのまま使用した。ただし、「庵・菴」→「庵」等一部統一した場合もある。
- 原本の記載自体が誤記であると思われる場合は、修正を加えて正しいと思われる文字を入力した。門人名のうしろに「※」を入れ、【備考】欄に説明を加えた。
例:「杉田立卿」が門人帳に「杉田立郷」と記載されていた場合
【人名】欄を「杉田立卿※」、【備考】欄に『【人名】原文「杉田立郷」』と入力。
- 姓が前記の門人名をうけて「同・・」等とされていた場合、適宜該当する姓に置き換えて入力した。
【記載地名】
- 出身地の可能性が高い地名や後記と思われる就学後の移住地名などの地名を入力した。全角漢字かなで入力。
- 現在の地名と門人帳の表記が異なる文字で記載されている場合は、【記載地名】欄に現在の地名を入れ、【備考欄】に門人帳での地名を入力した。
例:現在「福知山」と表記される地名が、門人帳では「福智山」の場合
【記載地名】欄は「福知山※」、【備考】欄に『【記載地名】原文「福智山」』と入力。
- 門人帳に地名の記載がなく、「松平備後守家中」など出身地や関係地名を推測させる記載がある場合は、この欄に入力した。
- 記載地名が前記の門人名をうけて「同所」などと記載されている場合は、適宜該当する地名に置き換えて入力した。
【現都道府県】
- 現在の都道府県名を入力した。全角漢字で入力。
- 【記載地名】が複数にわたる場合は、それに応じて都道府県名も「岩手県/宮城県」のように複数記入。
- 【記載地名】が「・・藩」といった場合、具体的な地域が特定可能な場合を除き、その藩の本貫地の県名を記入。本貫地が複数の県にまたがっている場合は、その両者を入力した。
- 基本的に飛び地は考慮しないが、飛び地出身者であることが明確である場合は、その都道府県名を入力した。
- 江戸詰や大坂・京詰めと判明した者は、【記載地名】を「鹿児島(江戸詰)」のように入力し、【現都道府県】は「東京都/鹿児島県」と併記して入力した。
- 同じ名称の地名が複数の県に存在する場合、該当するすべての県名を入れた。
- ただし、村名の記載のみなど多数の該当地があり、都道府県名を判別できない場合は「不明」とした。
- はじめから記入のない場合は空欄とした。地名が特定できないものは「不明」とした。
【入門年月日】【退塾年月日】
- 塾の入門と退塾の年月日を入力した。全角かなと数字で入力。
- 前記の門人をうけて「同年」等と記載されている場合は該当する年月日に置き換えた。
- 「天保辛未年」などは該当する年号を算用数字で入力、干支のみの記載の場合でも年号が推定できるものは該当する数字に置き換えて入力した。
- 「夏」「冬」「孟春」や「入門」「入塾」といった記載は、そのまま入力した。
【師匠】
- 各門人帳ごとの塾の師匠名を入力した。全角漢字で入力。ただし、「慶應義塾」のように師匠が特定できない場合は空欄とした。
【塾名】
- 各門人帳ごとの塾名を入力した。全角漢字で入力。ただし、塾名が不明の場合は空欄とした。
【所属ほか】
- 「牧野遠江守殿医師」「松平備後守家中」「松平越前守臣」等所属などをあらわす記載を入力した。全角かな漢字で入力。
- 「松平備後守家中」など記載地名がない場合は、この欄とともに【記載地名】欄にも入力した。
【記載年齢】
【続柄】
- 「春耕兄」などの縁者の存在を示す記載を入力した。全角かな漢字で入力。
【別称ほか】
- 門人名以外の名・字・号・別称、改名などの記載を入力した。全角かな漢字で入力。
- 「名文恭字子敬号角堂」という記載の場合、「【名】文恭/【字】子敬/【号】角堂」とした。
- 複数の【名】などがある場合は「・」で並列して入力した。
- 改名は「後改・・・」「今改・・・」などの原本記載通りに入力した。
- 字や号などの判別がつきがたい場合は、「【名】」などとは分けずに入力した。
【請人】
- 門人帳に請人として名の記載されているものを入力した。全角かな漢字で入力。
例:「請人伝兵衛」の場合、「伝兵衛」と入力。
【出典】
- 底本とした門人帳の出典。出典史料名・出典史料論文著者名・出典史料紹介論文名・出典史料所収資料名・発行者・出典資料出版年を入力した。かな漢字で入力。
なお、これらの出典から門人帳名がわからない場合は、出典の最初に門人帳名を入力した。
- 共同研究員による調査成果による史料で、史料自体に名称のない場合は便宜上の名称をつけ、【備考欄】にその旨を入力した。
【その他】
- 設定をした項目に該当しない門人帳の記載を入力した。全角かな漢字で入力。
例:「物故」「破門」「故人」「早世」など。
- また、特定の項目に該当しないが、その人物全般に関わる情報(共同研究員による研究成果・【参考文献】)も入力した。
【備考】
- データベースの注釈的意味合いの欄。全角かな漢字で入力。門人帳中の明らかな誤記・訂正を入力した。また、共同研究員(概要を参照)による調査成果についての出典なども補足した。
項目説明
項目名 |
内 容 |
【番号】 |
各門人帳に記載された門人の記載順序を入力。 半角英数字で入力。
|
【人名】 |
蘭学塾の入門者名を入力。 全角漢字で入力。
|
【記載地名】 |
出身地の可能性が高い地名や後記と思われる就学後の移住地名などの地名を入力。 全角漢字かなで入力。
|
【現都道府県】 |
現在の都道府県名を入力。 全角漢字で入力。
|
【入門年月日】 |
塾の入門年月日を入力。 全角かなと数字で入力。
|
【退塾年月日】 |
塾の退塾年月日を入力。 全角かなと数字で入力。
|
【師匠】 |
各門人帳ごとの塾の師匠名を入力。 全角漢字で入力。
|
【塾名】 |
各門人帳ごとの塾名を入力。 全角漢字で入力。
|
【所属ほか】 |
所属などをあらわす記載を入力。 全角かな漢字で入力。
|
【記載年齢】 |
年齢とおぼしき記載を入力。 半角英数字で入力。
|
【続柄】 |
縁者の存在を示す記載を入力。 全角かな漢字で入力。
|
【別称ほか】 |
門人名以外の名・字・号・別称、改名などの記載を入力。 全角かな漢字で入力。
|
【請人】 |
請人を入力。 全角かな漢字で入力。
|
【出典】 |
底本とした門人帳の出典を入力。 かな漢字で入力。
|
【その他】 |
設定をした項目に該当しない門人帳の記載及び、追加情報を入力。 全角かな漢字で入力。
|
【備考】 |
データベースの注釈的意味合いの欄。 全角かな漢字で入力。
|