お勧めの展示品をご紹介します
くらしの植物苑ではサクラソウが今見頃です。サクラソウは単弁で、背丈が同じくらいなので、色彩や花形の変化を一同に集めて多くの鉢を組み合わせて鑑賞されますが、このような総合的な美しさを楽しむことができる「雛壇(ひなだん)飾り」という鑑賞法による展示もあります。東屋(あずまや)のまわりにはもみじが置かれ、春のもみじも楽しめます。 (石)
今年もすでに師走になりました。年末年始に旅行にいかれる方も多いと思います。歴博の第三室の旅に関するコーナーには近世(江戸時代)の旅行用品類があります。
物語などでは、胡麻の蝿、盗賊、追剥等々危険がいっぱいの道中???それでも人々は旅をしていた?もっとも今も大差はないかもしれませんが・・・。
宿場とともに、近世の「たび」に携帯されたと思われる品々が置いてあります。コンパクトにまとめられた色々な「たび」の必需品を全て持って歩いていたわけではないと思われますが、なかなか工夫された品々が展示されています。今でも使えそうなもの、旅行の案内書やお守り、更には、引出し付きの枕等感心したり驚いたり、今も昔もあまり変わりはなかったのかな?比較してみてください。
でも、大変変わってしまったことがあります。なんと言っても当時は「あるき」が基本だったことです。今では、飛行機・鉄道・車などを使い、遠くまで一気に移動し、途中の街並みや風景、食べ物などはとおり過ぎていきます。
たまには身近な所で「のんびり」と、歴博や城址公園、また、近くの街などを散策すると、思わぬ新鮮な景色や新たな発見にぶつかるかもしれません。 (ほ)
くらしの植物苑では、古典菊が満開を迎えます。室町から江戸時代に発達した門外不出の古典菊の中から、細い花弁の垂れ咲きが特徴の伊勢菊、京都大覚寺に伝わる嵯峨天皇ゆかりの嵯峨菊、熊本細川家で伝承された肥後菊、アネモネに似た丁子菊など、色鮮やかです。その他珍しいものでは現代菊で黒っぽい花の「黒子」、食用菊でおもしろい名の「もってのほか」なども見られます。現在、約60種類、300鉢を東屋に展示しています。あと1週間ぐらいが最高の見ごろになりますのでお急ぎください。菊にあまり興味が無かったあなた、菊を見る目が変わります。「伝統の古典菊」は11月28日(日)まで開催しています。 (Go)
朝顔は、熱帯アジア原産の日本のアサガオと西洋朝顔がありますが後者の西洋朝顔のなかでも特に青系のものをソライロアサガオと呼び、ヘブンリ−ブル−(青)、ブル−スタ−(水色に青星)、フライングソ−サ−(青白絞り)など何種類もあります。私のおすすめは澄んだとてもきれいな青色をもつヘブンリ−ブル−(Heavenly Blue)という詩的な名の花径8cm前後の中輪種でまさに名のとおり、「天国の青」です。よく見ると花芯部にかけて白く、奥が淡い黄色味もまたよい色あわせで、明治時代に日本に渡来したものだそうです。普通8・9月から開花し、10月が最盛期、晩秋頃まで鑑賞できます。くらしの植物苑でも入口を入ったすぐの鉢植えで咲き始めました。なんとこの花、日本のアサガオと違うところがあります。普通の朝顔は、午後の太陽光が当たると縮んでしまうのですが日中も咲き続けます。また、葉や蔓に毛が生えて無く、葉に耳が無く丸葉に近いハ−トのような形をしています。とても強健ということで、私も自宅で今この花を育てていますが、いくつ花を咲かせられるか楽しみです。同じ種(同じ学名)で赤色の花をつけるスカ−レット・オハラという品種もあるそうです。くらしの植物苑では、江戸の変化アサガオをはじめ、色々な種類のアサガオが咲き始めています。朝の涼しい午前中の鑑賞をお勧めします。 (Go)
幻の花 センノウを知っていますか? | ||
今回の企画展は『海をわたった華花−ヒョウタンからアサガオまで−』
本館中庭には、ナタマメや雑草メロンが植えられています。企画展示中ニョキニョキと育ち、毎回違う姿を見ることができるでしょう。そしてナタマメの隣に植えられているのは、世界最小の雑草メロン・・・。
中庭のプランターには、美しい花も植えられています。
リラックスチェア―に腰掛け、涼しげな噴水の音を聞きながらほっとひと息してみませんか? (石)
7月13日から始まる「海をわたった華花」展のメイン展示のひとつを一足早くご紹介します。
『野菜涅槃(ねはん)図』(伊藤若冲(いとうじゃくちゅう)筆 京都国立博物館蔵) の再現模型です。
中央に二股になった大根が横になり、その周りを野菜や果物達が取り囲んでいるちょっとユーモラスなこの展示は、江戸中期の画家伊藤若冲(1716-1800)の「野菜涅槃図」を立体にしたものです。ヒョウタンなどの乾燥実物標本やそっくりに作ったレプリカで当時の野菜や果物を再現しました。
「涅槃図」とは、沙羅双樹に囲まれた寝台に枕を北に顔を西にして横たわるお釈迦様を諸菩薩、仏弟子、在家信者、鳥獣たちが取り囲んで嘆き悲しむ様子を描いた仏教画です。
「野菜涅槃図」は、京都錦小路の青物問屋に生まれた若冲が、二股大根をお釈迦様に見立て、そのまわりを取り囲む野菜や果物たちを描いた水墨画です。野菜を見続けてきた若冲がここで描いた当時の野菜たちは60種類以上もあり、そのほとんどが海をわたってきたものだそうです。現代に見られるものとあまり変わっていないようですが、ちょっと珍しいものもあります。どんな果物や野菜かは会場を訪れたときのお楽しみ… (金田幸代)